無から有を生み出すこと
桜内文城です。
「おにへん(鬼編集長)」こと岡本呻也氏が新雑誌の創刊に際して、鬼の目にも涙という実感を吐露されている。建前上、責任編集の木村氏の最近の御立場は別として、国ナビ(国家財政ナビゲーション・システム)という無から有を生み出すような仕事を御一緒させていただいた者として、些かの感慨があった。
国ナビ自体を作成するにせよ、その国ナビを世の中に打ち出していくにせよ、どのようにして分かりやすく、かつ理論のレベルを落とさないようにするのか、ということが大きなハードルとなっていた。そして、岡本氏をはじめとして非常に多くの方々のお力を得て、国ナビ・自治ナビは完成し、世の中にお披露目することができた。この場をお借りして心より感謝申し上げる次第である。
実は、今から一世紀以上も前、イタリアでロジスモグラフィア(Logismographie)と呼ばれる公会計の理論体系が実際に政府機関において用いられていた時期があった。詳細は把握できていないが、どうやら企業会計の枠を大きく超える点で、今回の国ナビと共通するところが大きかったのではないかと考えている。残念なことに、ロジスモグラフィアはその勘定体系と会計処理(仕訳)の複雑さが災いして、開発者が政府を去った後、すぐに廃れていったというが、国ナビはそこが違う。現代のIT技術の発展のお陰で、その拡張された勘定体系上の複雑な会計処理(仕訳)もほぼすべて自動化している。先人の努力を知る上でも、できるだけ早い時期にロジスモフィアの理論体系を解明したいと思っている。