※Notice※ この作品はフィクションであり実在する、 人物・地名・団体とは一切関係ありません。 また時折不適切、尚、BL要素が含まれる事もございます。 上記の意味が理解できない方、受け止めれない方はそっと静かにこのサイトを閉じて頂く事をお勧めします。 サクラコ
神使からの目を逸らし、俺は無言でもう一度自分の部屋に戻ると、服を脱ぎ「巫覡」(ふげき)の衣装を持ち、浴室に向かう。
その様子に何、口挟む事なく神使は見つめ、俺も何を言う事なくシャワーを浴び、身を浄めると、巫覡の服に身を包む。
『随分と着慣れてらっしゃるし、何よりとてもお似合いになられますね』
「それは、
………………どうも」
神使の言葉
お世辞では無いだろうから、素直に礼を言う。まあ、少し尖った言い方だったかも、しれないけれど。
「で、智はどうなの、寝れば大丈夫なの?午後からもう一件(御祈祷)あるらしいけど。あ、後、まさかとは思うけれど、飲ませて、ないよね?」
『わたしの判断で飲ませるような『もの』でありませんので。あと、もう少し睡眠を取ればそれなりに回復するとは思いますが』
「それなりに、、、か。後さ、いつからそうやって智に
………………触れてるの?」
目線は智の心の臓に触れられたままの神使の掌に止まり、俺の中の『嫉妬心』が、早々に騒つく。
服の上からなら、まだしも
サラリと神職衣装から忍び込んでいる、その神使の掌から、目が、離れなくて。
『微力ながらではございますが、わたくしの体内にもある神力を流し込んでいるだけでございます。何も無いよりかは、早く神明さまの神力を取り戻せるかと』
「それって、服の上からじゃ、
………………駄目なわけ」
誤魔化しても
どうせ見透かされるのだから
はっきりと言ってやった。
智の肌には
触れて欲しくない。
触れていいのは、俺だけ、そう
………………俺だけ、だから。
『お嫌ですか?』
「嫌だね」
『今はこんな姿をしてますが、わたしは人間ではありませんよ?』
「それでも、
………………嫌」
でしたら、、と、神使は俺の手首を掴むと、さっきと同じ智の神職衣装の隙間にそれを導き、
「ちょ、何して」
『大声を出すと、
………………起きてしまいますので』
言われるがまま
神使の掌と共に、智の心の臓の上に手を乗せた。
「………………え、なにこれ」
この時、
俺はかなりの衝撃を受けながらも
間違いなく、その時に、決意したんだと思う。
不規則で
あまりにもひ弱な、智の心臓の鼓動を
………………聴きながら。