この記事は施設長の若山三千彦が書いています。
今日、10時半過ぎに、大喜が緊急受診しました。
けいれんを起こし、呼吸が荒く、舌が出てしまった状態で、意識もほぼありませんでした。
主治医のよこすか犬と猫の病院に電話した所、すぐに連れてくるようにと指示を受けたのですが、私たちは連れて行くべきかどうか、悩みました。
これが最期なら、病院で死なせたくない。住み慣れた我が家で最期の時を迎えさせてあげたいと悩んだのです。
しかし一瞬悩んだ後、アーミーさんは、今回は病院に連れて行こうと決断し、即座に出発しました。
病院での血液検査の結果は、腎臓の悪化です。
BUNという指標の数値が急上昇しており、おそらく急性腎不全を起こしている状態とのことでした。
急性腎不全は命に関わります。
打てる手は水分点滴です。
しかし大喜は、以前、腎臓の数値が悪化して点滴を受けた際、逆に体調が悪化したことがあったのです。
その時はとても苦しそうでした。
それを思い出し、アーミーさんは今回は点滴をしないという決断をしました。
そうなると打てる手はありません。
だから大喜を入院はさせず、すぐに一緒に帰ってきました。
ユニットに戻り、キャリーから大喜を優しく抱き上げるアーミーさんです。
いつものベッドに、そっと横たえます。
このベッドこそが、大喜の居場所です。
大喜がずーっと過ごしてきた居場所です。
ここで大喜は、いつもご入居者様や職員と一緒に過ごしていたんです。
そして、ユニットが大喜の我が家です。
大喜が12年間暮らしてきた我が家です。
大喜を慈しみ、抱きしめるアーミーさん。
抱きしめる前に、大喜にオムツを当て、毛布をかけ、温めたユタポン(電子レンジで温める湯たんぽです)を入れました。
そうして大喜が快適に過ごせる準備をしてから、抱きしめたのです。
このままずーっと抱きしめていました。
いつまでも、いつまでも。
これからは、大喜に何かを食べさせようとは努力しません。
もし、大喜が欲しがる様子を見せてくれたら、ササミとかボーロとか、大喜の好きな物だけを、食べれるだけ与えます。
ポカリスウェットを薄めた物を、シリンジで口に入れることはしますが、飲めないようだったら止めます。
体が水分を受け付けないなら、無理に飲ませても苦しませるだけですから。
吐き気止めの薬をもらってきましたが、これも無理には飲ませません。
そうやって、大喜が苦しくないことを優先します。
大喜が、残された時を穏やかに過ごせることだけを考えます。
アーミーさんに抱きしめられているうちに、大喜は目を開きました。
私には、大喜が意識を取り戻し、アーミーさんを見つめているように感じられました。
この写真は12時27分に撮影した物です。
大喜は穏やかな顔をしてくれています。
急性腎不全なら、体調は大変悪くなります。
大変な気持ち悪さや、辛いほどのだるさがある状態です。
でも大喜は苦しそうな顔を見せていません。
穏やかな表情を見せてくれています。
この穏やかさを最期の瞬間まで守ることができたら。
今の私たちの願いはそれだけです。