施設長の若山三千彦が書いている犬のエッセイです。
4日の記事にもある通り、ルイ、大喜、そしてさくらの家のマルコが揃って無事に年を越すことができて感無量です。
昨年は、ワンコ達の生と死について、色々と感じることが多い一年でした。
ルイ
ルイがほとんど何も食べなくなり、主治医の獣医さんも、看取り介護の段階に入るかもしれないと診断していたのが、一昨年の夏でした。
その時私は、ルイは年を越すことはできないかもしれないなと半分覚悟をしていました。
それが、チロが自分のご飯を分けてくれたことをきっかけに、ルイは再びご飯を食べられるようになり、奇跡の復活を遂げました。
無事に年を越えて2023年を迎えたどころか、こうして2024年を迎えることができました。
チロとルイ
それなのにチロは先に逝ってしまいました。
チロが虹の橋に旅立ったのは2023年1月5日。
昨日が命日でした。
当時は、まさかチロが先に逝ってしまうとはと、ショックでした。
確かにチロは長年心臓病を患っており、ルイよりは健康状態が悪かったのですが。
そもそもチロの方がルイよりも年上で、チロが先に旅立つのが順番なのですが。
それでも、チロがルイを死の寸前から救ってくれたと言う思いがあったので、チロが先に旅立ってしまったのはショックでした。
大喜
昨年、体が弱ったワンコとしては、大喜がいます。
大喜は歳をとるにつれて、徐々に足腰が弱ってきて、一昨年の秋には、自力で立ち上がるのは難しくなっていました。
それでもその頃は、立たせてあげれば、少しの距離は自力で歩けていたのですが、それも段々難しくなってきました。
寝たきり状態に近くなっていきました。
そうなると食欲も落ち、一方では下痢が多くなり、体が衰弱してしまいました。
フードをあまり食べられないので、栄養補給のためのリキッドを飲ませるようになりました。
そのリキッドも、自力では飲めなくなり、シリンジ(針のついてない注射器)で飲ませるようになりました。
3月頃には、もしかしたら、大喜の方がルイよりも先に逝ってしまうかもしれないと思っていました。
ルイはよろよろしながらも、しっかり自分で歩いて、解除されながらもご飯を食べていましたから。
さくらの家のマルコ
そんな時に飛び込んできたのが、さくらの家のマルコが歩けなくなったと言う情報です。
3月末のことでした。
その3か月前は、マルコは元気に散歩に行っていました。
2022年の12月、マルコが暮らすさくらの家三番館でコロナのクラスター感染が発生してしまい、職員がマルコの散歩に行く余裕がなくなった時に、私が何回か散歩に連れて行ったのですから確かなことです。
マルコは文福同様に散歩が大好きで、かつては1時間近く散歩していたのですが、一昨年の12月は20分位の散歩になっていました。
だいぶ衰えてはいたのですが、まだまだ元気に散歩していました。
それが、わずか3か月後に歩けなくなってしまったのです。
まさか、マルコが大喜より先に逝く可能性が出てきたとは。
これが、当時の私の正直な気持ちです。
犬は人間よりはるかに寿命が短いので、犬の1年は人間の4年位に相当します。
だから、短時間で体調が大きく変わることがあるのはわかっていたのですが、それでもあまりにも急なマルコの体調悪化には愕然としました。
しかし、そこからマルコは、大喜やルイと同じように、奇跡的な頑張りを見せてくれています。
そして、大喜、ルイ、マルコと揃って年を越え、2024年を迎えることができました。
ここから、私事を書かせて下さい。
「まさかこの子が先に逝くかもしれないなんて」という思いは、私にとってはさらに続いたのです。
私はチワワを3匹飼っていますが、1匹の子が昨年7月初めに余命2ヶ月の宣告を受けたのです。
5月に13歳になったばかりのことでした。
まさかこの子が、ルイや大喜やマルコよりも先に逝ってしまうかもしれないなんて、と大変なショックでした。
もともとこの子は4年近く心臓病を患っており、いつ突然の発作を起こして亡くなっても不思議のない状態ではあり、覚悟はしていたのですが、それでもショックでした。
基本的には大変元気でしたので。
でも、私の愛犬も、ルイ、大喜、マルコと同じように奇跡の頑張りをみせてくれています。
余命2ヶ月の宣告を受けてから6か月が過ぎても健在です。
もう夏を越えられないと覚悟をしていたのに、夏を越え、秋も越え、年を越えることすらできました。
大分弱ってはいますが、自分で歩いています。
毎日、朝晩の散歩にも行っています。
散歩中の大部分の時間は抱っこしており、歩かせるのはほんのわずかな時間だけですが、大喜びしています。
もとから食が細い子で、ドッグフードはあまり食べなくなってしまったので、大喜と同様にシリンジでリキッドを飲ませていますが、大好きなおやつは喜んで食べています。
もしかしたら春を迎えることができるかもしれない。
奇跡的に、14歳の誕生日を迎えられるかもしれない。
そう思いながらも、今日発作が起きて旅立ってしまうかもしれないと常に覚悟はしていますが。
ルイも大喜もマルコも、今、命があるのは奇跡です。
その奇跡は職員達に大きな喜びを与えてくれています。
そして私にとって愛犬の命が今もなお輝いているのは、無宗教なのに神様に感謝したくなるほどの大奇跡であり、至高の喜びです。
この一年間は、私にとって、犬と言う小さな命の儚さと、その儚さに負けない大きな力を感じさせてくれる期間でした。
私と同じ思いをしている、犬を飼っている人、猫を飼っている人は大勢いることでしょう。
皆さん、命が起こす奇跡を信じて、そして覚悟を決めながら、一緒に頑張っていきましょう。