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施設長の若山三千彦が書く猫のエッセイです。
クロ姫は、8年前にホームにやってきた保護猫です。
今年推定14歳になります。
もともとは、典型的なツンデレ、いや、少しツンが強いツンデレで、
高い4段重ねのケージの天井の上に陣取って、じっと人間たちを見下ろしていました。
なかなか人には寄って来ませんでした。
もちろんご飯の時などは下界に下りてきます。
そんな時には、稀に人の脚にスリスリしたり、さらに稀には撫でさせてくれたりしますが、基本はなかなか触れない猫でした。
それが10歳を過ぎた頃でしょうか。
だんだん人恋しくなってきたようでした。
そしていつしか、あるご入居者様のお部屋で一緒に暮らすようになりました。
職員には相変わらずツンですが、そのご入居者様にはデレが当たり前になったんです。
そのご入居者様が昨年、ご逝去されてしまいました。
その後は、別のご入居者様の部屋で暮らすようになり、その方とも段々いい関係になってきたかなと思った矢先、
先月、その方もご逝去されてしまいました。
現在、クロ姫は、誰もいない部屋で1匹で過ごしています。
もちろん、近いうちに、新しいご入居者様との生活を試す予定ですが。
さらにもちろん、ユニットの職員達が頻繁に様子を見に行っていますので、決して一人ぼっちではありませんが。
私も、クロ姫が1匹で過ごすようになってからは、できるだけ毎日会いに行くようにしています。
元から、時々ご入居者様のお部屋に行ってクロ姫に声をかけ、稀には撫でることもできていたのですが、今のクロ姫は、すぐに撫でられます。
やっぱりツンデレのクロ姫でも寂しいのでしょうね。
クロ姫んお部屋訪問を3日間続けると、4日目には、可愛らしく「にゃあ」と鳴いて出迎えてくれました。
クロ姫は滅多に鳴かないんですよ。
本当に嬉しい時か、本気で怒っている時ぐらいです。声を出すのは。
5日目には、私が部屋の扉を開くと、鳴きながら立ち上がって迎えてくれました。
そしてなんと、翌週には、扉の所まで迎えに来てくれたんです。
とても嬉しいのと同時に、少しだけ寂しくも感じました。
クロ姫も歳をとったんだなと感じたからです。
それでも、こうしてクロ姫が心を開いてくれたのは嬉しい限りです。
クロ姫が新しいパートナー(ご入居者様)との暮らしを始めてからも、できるだけ毎日会いに行こうと心に誓いました。