看取り犬 ~文福の看取り活動~ | さくらの里山科公式ブログ ご入居者様とワンちゃん、猫ちゃん

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施設長の若山三千彦が書いている文福コラムです。

 

※ETV特集で文福の番組が放映されたことをうけて、文福について語るコラムですので、過去の記事と内容が重複しています。ご了承下さい。

 

土曜日の夜、NHK・EテレのETV特集で「看取り犬のワンダフルライフ」という文福の特集ドキュメンタリー番組が放映されました。

 

大勢の人が視聴して下さったようで、色々な反響があります。

 

その中で一番多かった声は、やはり文福の看取り活動に関することでした。

 

皆さん、文福が本当に、ご入居者様が亡くなるのを予測して、看取る活動をするのかと不思議に感じているようです。

 

そこで、本ブログでも改めて、文福の看取り活動についてお話します。

 

なお、ここ数年は、文福が看取り活動を行った際は、リアルタイムで本ブログに掲載しています。

 

記事が多くて大変かと思いますが(実は気が付いたら、記事の数が1万編をとっくに超えていました)、過去の記事を探してみてください。

 

 

文福が看取り活動を行う対象は、もちろんユニットで一緒に暮らしているご入居者様のみです。

 

ホーム全体のご入居者様ではありません。

 

ユニットでは10名のご入居者様が暮らしています。

 

その10名の方がご逝去される際に、寄り添って看取る活動をします。

 

また、看取り活動をするのは、老衰や末期癌で徐々に弱って、お亡くなりになる場合のみです。

 

心筋梗塞で突然亡くなった場合などは、看取り活動をしませんでした。

 

老衰で亡くなられる場合、徐々にお身体が弱っていき、やがて、食べ物を受け付けなくなります。

 

そして水分も受け付け亡くなります。

 

何も食べられなくなり、何も飲めなくなり、木が枯れるように、自然な形で「死」に向かわれます。

 

そのお身体の匂いの変化を文福は感じ取っているのだと思います。

 

 

ETV特集に登場した動物行動学の先生も、そのようにおっしゃっていました。

 

さらに先生は、匂いが変化したので、自分の匂いをつけようとしている、と推測されていました。

 

その通りだろうなと私も思うのですが、ただし、それだけではないと思います。

 

老衰で死にゆく方の匂いの変化を感じ、自分の匂いをつけようとしているだけなら、他の犬達も同じことをするはずです。

 

しかし、文福と同じユニットで暮らしているワンコ達、保護犬・雑種犬(文福と同じ、誇り高き日本の雑種犬です)の大喜に、ミックス犬のミック、トイプードルのココは、同じことをしません。

 

これまでにユニットでは、文福を合せて9匹の犬が暮らしてきましたが、看取り活動をするのは文福だけです。

 

従って、私は、そこに、文福の思いがあると考えています。

 

 

文福は保護犬です。

 

保健所の最終部屋にいました。

 

隣はガス室です。

 

壁の向こうからは、命を奪われる犬達の悲痛な叫び声が聞こえてきます。

 

文福はそんな思いをしてきたのです。

 

だから、文福は「命の重み」を知っている。

 

一人ぼっちで死を待っていた絶望の体験があるから、

 

自分の家族であるご入居者様が、一人ぼっちで亡くならないよう、寄り添ってい看取っている。

 

こう考えるのがあまりにファンがジー的であるのはわかっていますが、そうとしか思えないのです。

 

もちろん、動物行動学の先生のおっしゃっている「臭い付け」でもあると思います。

 

「臭い付け」という本能の行動と、文福の思いが一致して、看取り活動になっているのではないでしょうか。

 

あまりにセンチメンタルで幼稚な考えだと笑われてしまうのは覚悟の上ですが…。

 

 

文福の看取り活動について、私の思いを形にしたのが、この本です。

 

この本は、ETV特集のようなドキュメンタリーではありません。

 

文福や他のワンコの気持ち、そしてご入居者様やご家族様の気持ちを私が想像して書いた、ドキュメンタリーを基にした小説です。

 

この本には18編の「小説」が収められていますが、文福が主人公になっているのは3編のみです。

 

でも、その3編を読んで頂ければ、文福の看取り活動が、ご入居者様とご家族様の大きな救いと癒しになっていることを実感して頂けると思います。

 

もちろん他の「小説」に登場するワンコ達、ニャンコ達とご入居者様の心も、きっと皆さんの胸を打つと思っています。

 

本格的で良質なドキュメンタリー番組であるETV特集「看取り犬のワンダフルライフ」と、ドキュメンタリーをベースにした小説「看取り犬・文福 ~人の命に寄り添う奇跡のペット物語~」

 

この両方をご覧頂くと、文福の行う看取り活動がどんな意味を持つのか、ペット好きなご高齢者様がペットと暮らすことがいかに素晴らしいことか、実感して頂けることと思います。