思いきり間が空きまして、保育園シリーズの続きです。
保育園シリーズ
1歳児クラス
2歳児クラス
3歳児クラス
保育園の創立以来、
これだけ手に負えない幼児を扱ったことのない保育園の先生方は、
桜子を2歳児から年中さんまで2年間、「先生」にさせました。
ただでさえ責任感の強い桜子は、「先生」として同級生や年下の子たちを
指示する立場に徹しながら生活していました。
お勉強の時間はひらがなを教えたり、
お散歩の時は一番後ろから子供たちの列の乱れを見張ったり、
お昼寝の時は眠れない子の背中をトントンしたり、
帰りの会では絵本の読み聞かせを行ったり。
一方で、自分のお勉強の方は、
ヨコミネ式の教材(ひらがな・カタカナの読み、書き、計算)を
年少で年長さんの誰よりも進めてしまい、
掛け算まで終わらせていました。
さらに、年少から始まった鍵盤ハーモニカも、桜子だけが特別扱いされ、
(ピアノ教室ではソナチネレベルまで進んでいたため)
みんなが♪の読み方をひとつひとつ習っている間に、
電子ピアノで練習曲を弾かされていました。
👆このせいで、息を吹き込む鍵盤ハーモニカの扱いが不慣れになり、
小学生の今も息を吐きながら弾くのが得意ではありません
先生からなんでも特別扱いされる桜子に対して
子供たちからは羨望の眼差しが向けられ、
そうなると、必然的に出来上がるのが
桜子王国ガオー
どんなに桜子が傍若無人な振る舞いをしても、
子供たちは誰も逆らえない雰囲気が出来上がってしまいました。
偉そうな態度がどんどんエスカレートしていった桜子は、
自分の言う通りに行動しないお友達に対し、
叩く、つねる、蹴るの他害行為で
泣かせて支配させるようになりました。
21歳の若い担任は、どうしていいかわからずオロオロするばかり。
さらに、この他害行為を私が知ったのは、
年中に進級して新しい担任に代わってから。
他害が始まったばかりの頃に
私も家庭で一緒に改善に取り組んでいたらと思うと、
本当に残念でなりません。
年少さんクラスが終わった時、担任は
「桜子ちゃんにはたくさん泣かされました。つらかったです。
自信が無くなったので、赤ちゃんクラスに移ります」
「おいおいおい。。。。」
担任は穏やかな可愛らしい女の子だったけど、
やはり経験不足は否めなく、
性格のねじ曲がってしまった桜子と子分軍団と化したこのクラスを
どうにかせねばプロジェクトが保育園で組まれました。
そうして迎えた年中クラス
満を持して担任に選ばれたのは、保育園一の優秀教員、
あい先生
あい先生は父親が高校の校長、兄が大学助教授という
生粋の教育者家庭で育ち、
インターナショナル系の幼稚舎~大学の輝かしい学歴を持ちながらも、
なぜか保育園の先生になったという不思議なヒト。
まだ30歳の若さながら幼児を扱うことに関しては超エキスパートで、
創立以来、ずっと年長児を担当し、
ヨコミネの50m走記録会では毎年我が保育園に優勝をもたらせ、
発表会では子供たちに華麗なアクロバット技を披露させ、
会場を感動の渦に包ませる、
保護者なら誰もが担任を希望する、熱血先生です
そのあい先生が年中に降りてくるなんて、
桜子の改革プロジェクトに
保育園側が本気を出して乗り出してきた
と、勘の良い母は気づいてしまいました
担任になったあい先生、
「昨年は力不足の担任で申し訳ありません。←同僚を思いっきりディスってるよ
桜子ちゃんの担任になるのを楽しみにしていました」
と頼もしい挨拶をしてくれました。
最初にあい先生が行った改革、
それは桜子を
「先生」から「生徒」へ戻すことでした。
それまで前に出て号令などをしたり、
全てにおいて特別扱いされていた桜子でしたが、
「はい、桜子ちゃんは〇〇君を注意しなくていいよ。
自分のことだけに集中してね」
突然こんなことを言われて、いくら素直な子でも
すんなり指示が入るわけがありません。
特に、我が物顔で王国に君臨していた桜子、
大・混・乱
あい先生のことは本人も大好きでしたが、
相当複雑な気持ちだったようです。そりゃそうだ
そこで、桜子が起こした反乱が、
「あい先生の言うことなんか聞くもんか」
あい先生が指示することと
わざと反対のことをして困らせる行動に出たんです。
例えば、50m走のタイムを計ってもひとりノロノロ走る、
お昼寝は全く寝ずにギンギンに目を開けて先生をガン見
誰よりも早く仕上げていた工作も中途半端に提出。
あい先生の言うこと全てに対し、
「やだやらない」
と反抗を続けました。
桜子の態度の原因がわからないあい先生、
あれだけ自信満々に私に「頑張る!」と宣言していたのに、
結局、彼女も
桜子に泣かされました
これで何人目だよ。。。
「お母さん、私悔しいんです。
桜子ちゃん、できるはずのに、どうしてもやってくれません。
力を発揮しようとしないんです。
どうしたら心が開けるか、私にはわからないんです」
あい先生が涙を流しながら私に訴える姿を見て、
とうとう私も一大決心をするのです。
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