新国立劇場2024/2025シーズン開幕公演、ヴィンチェンツォ・ベッリーニの「夢遊病の女」を初日に見ました。

 

待ちに待ったシーズンオープニングの夜なんですが、劇場はいつもどおりというか、私が見た2階席はかなり余裕がありまして、不利なB席でも視界にサマタゲなく音響もダイレクトというかなんというか、で、その音楽がホントにすばらしくて驚くくらいでした。

 

アミーナのクラウディア・ムスキオ、エルヴィーノのアントニーノ・シラグーザ、おふたりの超高音超絶技巧は最初から最後まで、マウリツィオ・ベニーニ指揮の東京フィルハーモニー交響楽団のスーパーコントロールの美音、新国立劇場合唱団がひとつの生き物のようなまとまった声を響かせていました。大劇場の大人数のオペラなのに全体のこの繊細さ、スゴイものを聞きました🥰

 

バルバラ・リュックの演出で、10人のダンサーが登場して、イラッツェ・アンサ、イガール・バコヴィッチの振付で、ヒロインの夢遊病エリアを担当というか、アミーナを取り囲むようにしてたっぷり踊っていました。動きはありがちで、村人と同じ衣装で汚しがついているという、イメージ的にちょっと半端だったかも。安藤菜々華、伊藤舞、辻しえる、冨岡瑞希、矢野友実、池上たっくん、市場俊生、髙橋慈生、遠井公輝、渡部義紀。渡部さんはもと新国、髙橋さんはEdenで拝見、全員凄いテクニシャンでびっくりでした。

 

舞台は田園キャンプな作りになっていて、中央に木があってシーツをひっかけたり、束ねた草花を地面にならべたり、ミッドサマーを連想してしまいました。あと、最後のアリアが、建物の上の張り出しステージを作って、手すりもない場所でずっと歌っていたのですが高所恐怖症のツボにはまって💦途中で怖くて見ていられなくなってしまったのですよねー、今思い出しても怖いです。せっかくのクライマックスが💦

 

夢遊病の女、ベッリーニのオペラでもちょっとマイナーなのかな、お話はトンチキだし歌う内容も行ったり来たりだし、ですが美しいアリアがいっぱいだし、あとコーラスの比重が大きいんですねー、新国立劇場合唱団を活躍させるのにふさわしいオペラでした。ゲスト歌手のチョイスがさすがだし、大野和士芸術監督の狙いは大当たりなオープニング演目でした。

 

さすがなんですけどねー、バレエも早くはじめてほしいです。オペラの舞台の水準に不足はないのですが、バレエ団には待っているファンがいるんですー、新制作で日程も余裕のオペラと、なんか格差を感じてしまうのでした。