2024年の「アラジン」、千秋楽は福岡雄大さん、小野絢子さんに渡邊峻郁さんのトリオが登場、貫禄の舞台でした。

 

この日の公演は、予定発表のときから客席に収録カメラが入るというお断わりがあったのですが、1階の前方サイドにかこい?を作って、カメラが置かれていました。NHKが4K撮影するときのような凄いのとは全然違う規模(笑)のカメラで、ネットにのせるくらいの画質になりそう? 配信のウワサがあるようなので、楽しみです~。

 

はじまる前は、アラジン役がほぼアラフォーの方ばかりでどうなのかな、な気持ちがよぎったのですが、そういう問題ではなかったでした。この日は雄大さんのテクニックが凄かったでした。3幕で、攫われたプリンセスを助けにきた場面で、舞台を横切るアラジンのシークエンスがあるのですが、途中に複雑すぎてわかんないジャンプが入って猛スピードのピルエットで駆け抜けていました。あんなのできる人いないです。雄大さんの速度感て、トバしてくるとほんとに無二ですよね。

 

若い速水さんも加えて、今回は全員関西出身のアラジンだったんですよね。圭吾さんや雄大さんのギャグもコテコテで面白かったです。ギャグの「量」は変えずに、質で勝負しているのが新国の奥ゆかしさでした。

 

アラジンの音楽はカール・デイヴィス。スコティッシュ・バレエのために作曲して、上演したけれどオクラ入りになって、そのままになっていた音楽をデヴィッド・ビントレーさんに聞いてもらって、それがこの作品のきっかけとなったとかで、名曲ですけど中古というか再利用というか。今まではそれなりな感じで聞いていたのですが、今回はオーケストラがダイナミックな音を出していて、なんだか凄かったでした。金管チームとか咆哮してましたものね、素朴なランプが立ってるだけのオープニングが壮大に見えて、魔法のじゅうたんも音楽の力で飛んでいました。

 

劇場いっぱいに生のオーケストラが響きわたって、幕が開くと鍛えぬかれたダンサーさんが活躍していて、舞台運びももちろんスムーズで、午後のひとときをこんなに贅沢に過ごせるところはなかなかないのでは。新国立劇場はそんなふうに楽しむ観客がいっぱいで、バレエの文化が変わったのだなと思います。

 

新国は衣装さんのフィッティングの技術が上手なのでしょうか、衣装のラインがいつもきれいだなと思うのですが、今回のようにバストとハーレムパンツにわかれているようなものは、とくに難しいのでは。飾りもキレイですけど、みなさん見事に着こなしてました。ソリスト級は髪やメイクもメイクルームの手が入っているとかで、そういうヴィジュアルのスキのなさも新国を見る楽しみです。

 

たかふみさまは9公演中5回のランプの精ジーンでしたが、踊れば踊るほど凄くなっていってました。峻郁ファンになって何年かたちますが、舞台が続いたほうが調子がいいタイプのパフォーマーさんなのかなと思っています。2幕のジーンとおつきの大ナンバーは、どなたが踊っても大喝采、な名シーンですけど、この日も拍手と歓声が爆発してました。カーテンコールでは、軽く飛んで出たり、回って出たときもありましたが、千秋楽は飛び上がった頂点のところから登場して、カーテンの切れめから、いきなり上から降ってきたみたいで、こうやって見るとホントに高く飛んでいるんだなあと驚きました。

 

米沢唯さんのアクシデントもありましたが、無事に復帰されましたし、楽しい舞台でした。前半は滞在していたビントレーさんにももちろんですが、この集団を率いている吉田都さんに、ホントに感謝の気持ちがいっぱいでございます。

 

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