新国アラジン、6月13日の舞台稽古見学会も観ていまして、4日連続で通いました。木曜日にあった見学会の主役キャストは、今日と同じ福田圭吾さんと池田理沙子さん。ランプの精ジーンはその日は木下嘉人さんでした。

 

本来渡邊峻郁さんがジーンの組なのですが、スケジュールの都合とか、初役の木下さんのリハーサルの機会を増やすとかなどの理由でのゲネプロ限定の変更だったのでしょう。福田さんと木下さんの共演が見られて嬉しかったのでした。ですが、峻郁さんどうしたのかな?とはちょっと思ってしまって、初日があくまで落ち着かなかったのでした。

 

というわけで2度目の福田池田組、強い技術で作品を遂行というか、お話にとけこんで、舞台全体のクオリティを上げるという主役ぶりでした。

 

圭吾さんのアラジンはペース配分も落ち着いて、なので前半ちょっとおとなしめでしたが最後への爆発力がさすがでした。次の舞台で新国卒業なのですが、ここぞという作品チョイスができてよかったです。

 

理沙子さんのプリンセス、衣装も髪型もとてもよく似合って雰囲気も柔らかくなって、技術は安定、とくにリフト系の盤石ぶりが印象的でした。お姫さま、無限に持ち上げられて回転しているんですが、圭吾さんとイキがよくあって、アクロバットというより美しさがまさるリフトの数々でした。

 

峻郁さんのジーンはご主人さま違いで二度目の登場。初日より好調で、というか絶好調で、回転も跳躍も、音楽を使いこなして素晴らしかったです。ファンになってから、こういうのはどちらかというと苦手なのかな、とか、背が大きいからやらないよね、と思っていた技とか、いくつか思うところもあったのですが、いつの間にかクリアしていった凄腕ダンサーさんなのでした。表現的には、ランプの持ち主が変わったときに、ダーク化してしまいそうな異形感を出していたのが目をひきました。なにか、ほんとにいろいろできる舞台人ですよね。

 

宝石の場面は若手チームで、安定のベテランチームにひけをとらないというか、勢いがあってよかったです~。背の高さもちょっとずつ大きくなっているのかな、シルバーの吉田朱里さんと内田美聡さんのゴージャス長身コンビとか。ルビーは奥田花純さんを、渡邊拓朗さんがサポートしました。かなり体格が違うのですが、花純さんのテクニックが小ささを感じさせないんですよね。拓朗さんはいきなりこんなトンデモリフトに余計な動きが一切ないのが凄かったです。

 

あと、エメラルドは楽しみにしていた仲村啓さんが降板してしまったのですが、代わった小川尚宏さんが非常に素晴らしい踊りでした。音楽的だし独特の振付の角度や質感も抜群だったです。あとこちらの目玉はダイヤモンドの山本涼杏さん、奥田花純さんと別方向で、こちらも凄かったです。ねばるテクニックに緩急のセンスもよくて、もういつまでも見ていたいです。背が高めでスケールも大きいんですよね。お顔もかわいい、驚異の新星なのでした。

 

日曜日の新国立劇場は、バレエははじめて見るというような方、お子さんを連れた家族などで満員でした。おなじみなアラジン、ダイナミックなオーケストラに、大きな舞台ならではの見ごたえがあって、みなさん魅了されていくのがわかります。なんといっても、新国の美しくて高いレベルのダンサーさんの存在はどうですか?と誇らしいくらい。お話がけっこうハタンしてたり、エフェクト全盛の演劇界で素朴効果だったりとかしますけど、そこもいいんじゃないでしょうか。一番アナログなのが魔人ジーンの表現かもですよね、自力で跳んでいるんだもん。それを木下嘉人さん、井澤駿さん、渡邊峻郁さん、3人の技術のレベルの高さで実現してるわけですが、普通ひとつのバレエ団でこれだけ揃わないですよね…。

 

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