新国立劇場バレエ団の、今シーズン最後の演目「アラジン」の初日を観てきました。

 

福岡雄大さんと小野絢子さん、無数の名作で名演を繰り広げてきたおふたりですが、やはり別格というか格別なのは、この「アラジン」なのではないでしょうか。デヴィッド・ビントレーさんが芸術監督として育てあげて、初演オリジナルのコンビではないのですけど、舞台を積み重ねて、踊りこんできた福岡・小野コンビのアラジンとプリンセスは、伝統芸能の世界で何百回も上演したような至芸のオモムキでした。

 

福岡雄大さんのタイトルロールは踊りがまず完璧、それ以上で、以前にあったお芝居に一歩引いたような姿勢がなくなったのか、恋の表現もちゃんと甘やか、ドタバタギャグも鮮やかでした。物凄いピルエットとか超人ですほんとに…。

 

小野絢子さんは秒単位で動く感情表現の見ごたえが凄すぎます。キレイでかわいいお姫さまがこんなに雄弁なのですよね。舞台でファンタジーを見るのに、お姫様らしさがあればそれでいいのですけど、その中に「書き込み」があるとより魅力がますのだなーと、今日のプリンセスは絶賛しかありません。

 

渡邊峻郁さんはランプの精ジーン、前回踊ったときの姿がポスター他のビジュアルに採用されていて、長い腕と凛々しい横顔が素敵なのですが、役づくりはちょっと変えたのかな? 青い神さまはちょっと落ち着きが増したかも。ジーンはシルエットで一瞬出てきたあと、アラジンのおうちに現れるのですが、そこで登場したら大きな拍手が起こって驚きました。峻郁さんを待っていた拍手だったのかしら🥰

 

2幕のいきなりの大ダンスシーンも凄い見ごたえでした。ダブルトゥールの連続の高さとスピードにびっくり、踊り出してくる間合いとか、峻郁さんの充実ぶりがはっきり。アラジンがマグリブ人にさらわれたプリンセスとジーン(え)を取り戻してくれたときの嬉しそうなところとか、お芝居もさすがでした。カーテンコールは大歓声に迎えられていました🥰

 

第1幕の宝石のディベルティスマンも期待どおりでしたが、奥田花純さんのダイヤモンドがすさまじすぎて呆れるほど。最近の花純さんは着地しないでヴァリエーションひとつ終わっちゃうテクニックなんですが、長丁場のダイヤモンドでもまったくスキがありませんでした。表現者としても化けましたよね、もともとダイヤモンドタイプのバレリーナさんではなかったのですよね。はあびっくりしました。

 

新国オリジナルの「アラジン」ひとつの理想的な完成形に到達したんだな、という初日でした。

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