6月7日の、東京バレエ団の「ロミオとジュリエット」を東京文化会館で見てきました。ジュリエットは秋山瑛さん、ロミオは大塚卓さんというキャスト。

 

 

 

2年前のクランコ版ロミジュリのバレエ団初演のときは、秋山瑛さんと池本祥真さんの主演で見て、そのあとベジャールの、ベルリオーズを使ったロミオとジュリエットのパ・ド・ドゥは、秋山瑛さんと大塚卓さんのコンビで見たのでした。

 

というわけで、秋山さん大塚さんコンビですが、見た目もお似合いですし感覚的にもとても合っているようで、ああロミオとジュリエットだなあ、と実感できるおふたり。気持ちのやりとりを大事にしながらも、クランコのスタイルを丁寧に押さえた踊りが清々しかったです。バルコニーもよかったのですが、寝室の別れの踊りが充実して鮮やかでした。

 

この日はマキューシオに池本祥真さん、ティボルトに柄本弾さんで、ふたりとも別の日のロミオ。今回公演の3人のロミオが総登場という顔見世興行でした。おふたりとも初役だったのだそうです。池本さんの凄いテクニックと諧謔味も巧みに出たマキューシオと、主演スターの貫禄とコワモテな柄本さんと、コレだよねなぴったり配役で、トータルで本当に納得な公演でした。

 

榊優美枝さんがモンタギュー夫人。ロミオのママで、見せ場たくさんのジュリエットのママと違ってプロローグに出てきてにらみ合っているだけな役どころなんですが、ケンカ上等の美しいお顔が素晴らしすぎました。榊さん、物凄いセンスのよい演技派なのでは、「白鳥の湖」も、表現者として抜群だったのがテクニックに加わったからの、あの成功だったのでしょう。

 

東バのもうひとりの長身美女、平木菜子さんは3人のジプシーで出ていてこちらも明るくおかしく、表情豊かで素晴らしかったです。背が高いと相手役を探すのに苦労するかもですが、榊さんも平木さんも、たくさん活躍してほしいし見たいです。

 

プロコフィエフが作曲したのが1932年、ラヴロフスキー版の上演が1940年、アシュトン版が1955年、クランコ版が1962年、マクミラン版が1965年、という時系列なのだそうです。マクミラン版を先に知っていたので、クランコのもあるのかという感覚でしたが、クランコ版のほうが先なんですね。広場の3人の女性ソリストは最初に考えたのがクランコでマクミランが追随したそうですが、こちらはジプシーなんですね。マクミランの方では娼婦という設定。というか昨今「ジプシー」は「ロマ」と言いかえるのが普通なのでは、配役表のジプシー表記はいいのかな、いいのか。

 

クランコ版は男性のテクニックが逃げ場がないというか、踊りまわしでごまかしも利かないというか、東バのダンサーのみなさんが正面突破で踊りきっていたのがさすが。リフトもミスなく鮮やかでした。若さを感じるロミジュリでマクミラン版と違う魅力がよかったです。舞踏会などで、貴族のみなさんがもうちょっと大人ぽくてもよかったかな、体格がちょっと小柄で、重厚な衣装に負けてたかも、気になったのはそこくらいでしょうか。

 

ベンジャミン・ポープ指揮の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。シティ・フィルのキザミ系の演奏が好きですし、街の喧騒や浮かれる青年たちといった、軽くどたばたする雰囲気が出ていたのがとてもよかったでした。