5月25日の土曜日の夜、めぐろパーシモンホールで二期会ニューウエーブ・オペラ劇場 ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲の「デイダミーア」を見ました。

 

指揮は鈴木秀美さん、演出・振付が中村蓉さん、ニューウェーブ・バロック・オーケストラ・トウキョウ。初日のキャストはソプラノの七澤結さん、河向来実さん、栗本萌さん、メゾソプラノの一條翠葉さん、バリトンの亀山康地さん、バスの目黒知史さん。ダンサーは北川結さん、田花遥さん、中川友里江さん、安永ひよりさん、長谷川暢さん、望月寛斗さん。

 

トロイ戦争の裏エピソードものといったらいいのか、戦争を避けて女装して隠れているアキッレを、ギリシャ軍から探しに来た男2人から隠そうとする恋人デイダミーア、デイダミーア姫の父王やお友達もからんでの様々な葛藤の中、結局アキッレはめでたく出陣していったのでした、というお話でした。元気に鹿狩りをしたり、恋のかけひきがあったり、物語より心理描写のアリアがずっと続いて室内オペラ系な内容というか。

 

中村蓉さんがダンスをたっぷり使って、歌手たちも歌だけではなく、かなり踊りました。プログラムを見るとこの舞台が二期会デビュー、という若手ばかりのようで、そのぶん動きも軽やか。アキッレ役の栗本萌さんがとくに、踊りがとてもうまくて目をひきました。ダンスはうるさくなりすぎない、音楽をよく生かした振付で、各アリアごとにモチーフの動きを決めてめりはりがついて、とても楽しかったです。マーチ系の曲はノリがいいのですが、最後には戦と別れ、を象徴して重い幕切れにしていました。

 

バロックオペラとして、オーケストラにはバッハ・コレギウム・ジャパンなどでおなじみの顔ぶれが揃って支えていたのですが、歌手側は自在に歌いこなす、ところまではなかなか難しいようでした。前半はどうなるかと思ったのですが、だんだん調子をあげてきて、すばらしいアジリタもありました。

 

指揮が鈴木秀美さんですし、ヘンデルのアリアが凝っていて初めて聞いても馴染みやすいいい曲ばかり。舞台の展開もシンプルながらスキがなくて、とさすがな水準のオペラでした。

 

というところで申し訳ない感想なんですが、なんだか出演者が全体的に、とても小柄な方が多かったのですよね。それでなんとなく、ジュニア版ギリシャ神話の世界、みたいな印象になってしまいました。演出もきめ細かく、衣装も工夫してできるだけの手はつくしてあった、とは思うのですが。大きいから大人に見える、というものでもないのでしょうけど、限界も感じてしまいました。

 

あと、せっかくバロックオペラなので、カウンターテナーもひとりくらい登場してくれたらよかったのに。男性は2人だけ、バスの方が正直弱かったので、女声ばかりでいささか単調でした。

 

かなりはしょったらしく、2時間ちょっとの上演時間。舞台の見た目も楽しめて、気になっていた二期会のバロックものが見られてよい週末でした。