二巡目の新国バヤデール、米沢唯さんと、渡邊峻郁さん、木村優里さんの主演回。日曜日に素晴らしくて、土曜日はまたさらに素晴らしかったです。カーテンコールの拍手はもう爆音というレベルでした。

 

渡邊峻郁さんのソロルをはさんで、ニキヤが米沢唯さん、ガムザッティが木村優里さんってチートというかずるいというか、絶対盛り上がるやつ、という配役なのですが、実際舞台が開いたら主要3人の相乗効果が予想以上でした。主役の貫禄十分な3人ですが、細かいところを追い込みたいオタク系な要素も共通点で、美しく華やかなのに細かいツメが面白いという、矛盾のような傑作舞台でした。

 

渡邊峻郁さんの今日のソロルはお芝居の表現も、踊りのテクニックも、相手役へのサポートぶりも見事でした。ガムザッティと組むパ・ド・ドゥでは、サポートのピルエットで最後の音の前に空白を作ってもらって、そのぶん優里さんを一回多く回らせてからフィニッシュという、指揮のバクランさんとは打ち合わせの成果なのか、アドリブでやったのか、あざといおまけをつけていました。コーダのマネージュも、バクランさんが途中で煽って早くなったものの結局元のテンポで回り終わって、と、今充実期の男性ダンサーと、神技指揮者とでいろんなことをやっていました。

 

2幕の途中から壊れてゆくソロルの、最後は寺院のように崩壊してしまうドラマが鮮明で、やはりこういう表現をさせると渡邊さんは上手いです。大きなジャンプ心情をたたえていて、舞台全部がドライヴ感をもって動いていました。

 

米沢唯さんのニキヤは、ガムザッティの優里さんとも、ソロルの峻郁さんとも、よく考えたプランでお芝居を作っているのだと思いますが、そんなはりめぐらされた網目にするっと乗っている絶対プリマ像が新鮮でした。彼岸の舞姫になってからの妖しさが素敵でしたね~ 渡邊峻郁さんと古典全幕で組むのは、2022年の「ジゼル」以来だったんですね、ダンスものはちょこちょこありましたけど。おふたりの古典は折り目正しくてスケールが大きくて、久しぶりに見られて嬉しかったです。

 

木村優里さんのガムザッティは、ソロル渡邊さんとお話している時間が多めでした。ニキヤがあらわれてソロルにつめよる姫君「あの方ご存じですの」ソロル頭真っ白、みたいなやりとりが見ごたえありすぎでした。踊りも本調子に戻ったし、持ち上げられ上手な優里さん、相手が慣れた峻郁さんなので見栄えも抜群でした。

 

女性ソリストも公演数を重ねて動きが練れていて、次々に美技がくりだされて客席のテンションもどんどん上がっていました。2幕のお祭りさわぎみたいな華やかさ、3幕はバレエ・ブランですが、これ、うまく踊れると盛り上がるんですよね、外すとさびしいですが。というわけでワクワクな客席がカーテンコールで爆発していました。カーテン前で一回、珍しく、ソロル渡邊さんがひとりで出てきて喝采をあびていましたが、そのあとのやりとりを見ると、ひとりで出るように促したのは米沢さんだったのかな? ソロルがリーディングロール、だと言ってもいい公演だったと思いました🥰