4月24日と25日、それぞれ1日かぎりで、ネザーランド・ダンス・シアター2つのプログラムをオンラインで見せてくれました。有料チケットを買うと、登録したメールに映像配信のアドレスを送ってくるスタイルでした。

 

 

1日めが、クリスタル・パイトの「TEN DUETS ON A THEME OF RESQUE」と、ノエ・スーリエの「ABOUT NOW」、ヨハン・インガーの「IMPASSE」の3本だて、2日めがマルコ・ゲッケの「In The Dutch Mountains」。

 

4人の作品それぞれ今をときめく、もう、さすがといいましょうか。とりつきやすい作品が選ばれたのか、楽しく見ることができました。なんとなく、衣装とか似た雰囲気も出てきますけど、文化のウエーブってそういうものなのかも。

 

パイトの作品は、「レスキュー」をテーマにした、かそけきふれあいのような、しみじみした味わいなのですが、踊りはしみじみしているヒマはなく、次から次へと動きのヴォキャブラリーが素晴らしいです。2008年の作品だそうで、ここからまた作風も変わっているのでしょうね。新国など日本のバレエ団ががパイト作品に挑戦するならこのあたりがいいのかしら。

 

ノエ・スーリエは、バッハの「フーガの技法」を使った作品でした。作品解説にイッコもバッハと書いていないし、もっと抽象的なものかと思っていたのですが。というわけでこのバッハはよかったです~ 聴いていて好きなツボのところにきっちり動きの変化が入っていて、音楽を腑分けするような振付でした。クラシックバレエへの目くばせ、の意識もあるとかで、整然と美しくてとても好みでした。来日公演がつい最近あったのですよね、行けばよかったでした、後悔。

 

最近思うのですが、音楽はそれぞれの人に聞き癖、みたいなのがあるのではと。いろいろな振付家の作品を見ていて、合う人はとてもスムーズに見られるけれど、合わない人はどうしてもダメだったりします。大きな声では言えませんが、ノイマイヤーさまが苦手で、とくにバッハものは「そこじゃない…」の連続になってしまって無理なんですよね。椿姫のショパンも、原曲そのまま長々と使わなくても…と思って見ているとは世間にむけて内緒です。

 

ヨハン・インガーは展開あざやかなゴキゲン作品で、これまた信じられないボキャブラリーな振付でした。動きもよいのですが、舞台の展開が鮮やかで面白かった~。

 

2日めのプログラム、マルコ・ゲッケの作品はひと晩の長編もの、といっても1時間ちょっとの作品でした。オーケストラがピットに入って、バルトークとブラームスを生演奏でびっくり。環境音や今の歌ものの録音と併用していて贅沢といいましょうか。ブラームスのゲッケがなんか独特で非常によかったです。

 

2プログラム4作品で、男性ダンサーが目立ちました。体格が美しくて、物凄くなんでも踊れる男性がどっさり。男性同士のデュエットも、今までにありがちだった力で衝突、という段階は超えて、繊細複雑なやりとりになっていました。あと、リフトが少なかったです~ バレエからコンテよりというと、男性が女性持ち上げっぱなし、という踊りが多くて、ほとんどそればっかりで、男性ダンサーの踊りそのものの魅力ってあまり楽しめないなと不満だったのですが、こんどのNDT online はそのへんが様変わりでした。しつこいリフトは好きじゃないので、この配信のダンスたちはよかったなーと思って見ました。

 

渡邊峻郁さんファンとしては、踊りたいと熱望してらっしゃるパイト、注目して好きだというゲッケ、トゥールーズ時代に踊ったというインガーと、こういうのを踊っている姿が見たいなあ、と邪念も入ってしまいました。輸入ものだけではなく、国内も凄い作り手がいますし、また新しい顔も見せてほしいです。5月の新作が楽しみ、踊れる能力は存分に使いまくってほしいです🥰