歌舞伎座の四月大歌舞伎、夜の部は「於染久松色読販」の土手のお六と鬼門の喜兵衛、「神田祭」「四季」のコンパクトな三本立て。4月11日に観てきました。

 

前半二本は仁左衛門玉三郎スペシャルというか、2021年の、まさかの仁左玉コンビの復活「桜姫東文章」が実現してから、盛り上がりまくるおふたりの組み合わせで、とくに「神田祭」は右をむいても左をむいてもキャーな状態で、劇場中が盛り上がっていました。

 

その昔「T&T応援団」で、切手貼りのお手伝いをしたことがあります。最近になって「応援団ができるほどの人気だった」と言われていますけど、実のところ、当時なかなか組む舞台がなくて年に一度の七夕状態で、孝玉コンビの共演舞台をひとつでも増やしてほしいという切ない願いで活動していたファンの集まりだったのですよね、今では考えられないかも。とくに、2人の共演で鶴屋南北の作品を蘇演してほしいと、希望していた「絵本合法衢」や「杜若艶色紫」などをとりあげた、作品紹介の同人誌も出していました。

 

その後孝玉ブームもちゃんと起こったのですが、あのころの松竹さんwの冷たい仕打ちを思うと、今の並べておけばいいでしょう、はい、な展開は胸アツでございました。お年を重ねたこういう「華」を見られるのは、本当にまれで貴重なことです。まして、めおと役者がそろってですものね。切手を貼っていたの40年前ですよ💦

 

お六と喜兵衛は南北らしい、はずれものな夫婦なんですが、陰惨になりきらずなんだかマヌケなのは、「お染の七役」のなかのエピソードならではのほどのよさなんでしょうね。ニザさまが178センチ、玉さまが175センチだったかな、細い長身のおふたりがバランスよく駕籠をかついで帰るのが景色がいいです🥰 

 

打ち出しは舞踊詩「四季」 昭和3年初演の作品で、もっと戦後の、ダンスの影響を受けた作品なのかと、でもアンナ・パヴロワが来日したのが1922年だそうなので、バレエの洗礼ももうあったのかしら。「冬」の、枯れ葉たちがぱたっと倒れる動きなどかなり独特でした。長唄に竹本、筝曲と代わる贅沢展開。お琴の響きがシャープでかっこよかったです🥰 若手がいっぱい出ているので確認したかったのですが、一度だけでは見きれませんでした。

 

わりとナゾ演目な夜の部でしたけど、最近の歌舞伎、演目や配役に工夫があるし、出てきそうな若手がいたら上手にプッシュしたりと、行政?がなかなかいいのではないでしょうか。そんな活気を感じて楽しいお芝居見物でした。