4月3日の水曜日の午後、横浜青葉台のフィリアホールで、マチェイ・スクシェチュコフスキのチェンバロを聞きました。ポーランドの2001年生まれで、ブルージュ国際コンクール優勝者記念コンサートなのだそうです。ずいぶん若すぎる演奏家なのではと思いましたが、珍しいオール・フレンチ・プログラムでしたので、初めてのフィリア・ホールに出かけてみました。

 

凄かったです。音色が美しくて、音色が百万色くらいあって、音色が各声部で完全に使い分けられていて、もうなにか、聴いたことのないジャンルのようでした。まだ音大の学生くらいな年齢でとんでもない完成度です。藤田真央さんのような、年齢と関係ない芸術家なのでしょうか、クラシック音楽の若い世代が恐ろしい。

 

プログラムは1601年生まれのシャンボニエールから、1715年生まれのデュフリまで、フランスのクラヴサンの名作曲家6人を時代順に構成したもので、ご本人の組んだプログラムだと思うのですが、緩急自在でかなり思い切っていて、調性とかわかる方にはもっとメッセージが伝わったのかも。

 

シャンボニエールのパヴァーヌ、ルイ・クープランのト調の組曲、ダングルベールのパッサカリア、ラモーのイ短調の組曲、フォルクレの二長調の組曲、デュフリのシャコンヌ入りの3曲でしめくくり。クープランはメジャーなフランソワではなく、そのおじさんのルイのほうです。バロック初期の素朴な響きから、古典派に移行寸前の様式まで、ラモーのあとに休憩を入れただけで、一気に弾き切りました。作曲家ごとのはっきりした区切りも入れずに、ルイ・クープランの組曲の最後のパッサカリアから、ダングルベールの派手なパッサカリアを続けたあたりとか、えーそれやる?みたいな凄い展開でしたねー。

 

チェンバロは超早弾きが見せ場なんですが、どんなに音数が多くても全部クリアで、各音の弾き分けも完璧で、もうありえない世界でした。途中からマチェイさんもグルーヴしてきているのがわかって、こんなマイナー曲ばかりなのに熱狂の終演になりました。アンコールは1曲、ラモーの「皇太子妃」でした。題名は優雅ですが超スピード(笑)

 

7か所の日本ツアーで、このプログラムは1度きりだったそうです。もう一度聞きたい。チェンバロというとバッハ、と連想しますけど、この楽器が一番映えるのは、フランスのクラヴサン業界の曲なのじゃないかと思うのですよね。音の質感をよく知っていて、どうしたら輝くのかがわかって書かれているのがフランスものの作品だと思うのです。コンサート中、ずっと真珠やダイヤモンドが目の前できらめきまくっているようでした💎

 

 

 

というわけで一日おいた金曜日の、浜離宮朝日ホールのバッハ・プログラムも行ったのですが、これも大胆なプログラムで、組曲と平均律、といった区切りに拍手が入ったのはご本人的にはどうだったのかな。素晴らしかったのですが、フランスものの熱狂とは違っていたかも。秒で終わる平均律のプレリュードとか、やっぱりトンデモでした🥰