新国のホフマン物語、3公演めはソワレで、私は見られなかった初日と同じキャストでした。福岡雄大さん、池田理沙子さん、小野絢子さん、柴山紗帆さん、渡邊峻郁さん、木村優里さん、という顔ぶれ。

 

初演から見てきたホフマンですが、今回、峻郁さんの悪魔役が出て、作品の転換ポイントになったのでは。今まではわりと、キャラクター的なポジションの方が踊り演じることが多く、悪魔役は一歩下がって物語を眺めていたのですよね。あくまでもホフマンと、3人のヒロインのお話として、恋の遍歴に重点が置かれていたように思います。

 

今日見たホフマン物語は、福岡雄大さんのホフマンと渡邊峻郁さんの悪魔が大きな対立軸になって、男同士の物語になっていました。悪魔がなんでホフマンを邪魔するのかは、こういう話の例にもれず理由がわからないのですが、恋より男バトルな展開はたいへんよかったです。新国のトップダンサーなおふたり、つかまえたりひきずったり、突飛ばしたりなアクションが猛スピードで展開してさすがな見せ場になっていました。いやバトルというか、ホフマン一方的にやられまくりだったでしたか。

 

役が発表になったとき、ホフマンではないのか、と少し残念だったのですが、いやこっちの方が見たかった峻郁さんでした。冒頭のリンドルフ議員が、黒い長いコートでゆらりと立ち上がった色気と怪しさ、目的のために有無をいわさない冷酷さが怖い。早変わりで、コッペリアのコッペリウスに当たる役、人形師スパランザーニは白塗りにオカメインコメークなのですが、早口で言うセリフを聞いているような凄い表現力で、小野寺雄さん菊岡優舞さんの召使とくりだすダンスも見事でした。

 

2幕は出て来る衣装とカバンが「エリザベート」のドクトルゼーベルガーみたいだなあと思っていたのですが、峻郁さんがやったらやっぱりトート閣下でした、名前はドクター・ミラクルですが。水晶の催眠術が似合いすぎ。クライマックスの小野絢子・福岡雄大・渡邊峻郁の三つ巴展開は物凄い迫力で、新国名舞台リストに残したいです。

 

3幕は期待?の半裸大会だったのですが、こちらは山田悠貴さんと石山蓮さんのお小姓を従えて最初の寝顔がヤバいでした。柴山紗帆さんのジュリエッタとは、ちゃんと愛人感があってよかったです。ダーパトゥートってダッペルトットの読み方違いかしら。

 

最初のシーンに戻って、すーっと入ってくるリンドルフのなめらかな歩み、黒コートが美しく翻って魅力の瞬間でした。結局ホフマンから女優ラ・ステラを横取りして、木村優里さんの腰をさっと抱えて、ゆりたかコンビで風のように去っていきました。

 

4役を演じ分けるのも、悪魔の妖しさを表現するのも、残酷さも、守備範囲だろうと期待していたのですが、実際舞台で見たら耽美な支配力で目がくらみました。こんな峻郁さんが見られてもう本望です、まだ色々見たいけど。というわけで公演の他の部分があまり、というか全然チェックできていないごめんなさいな感想でございました。

 

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