人生最長のクリスマスだった気分の、新国立劇場バレエ団の「くるみ割り人形」の大興行でした。元旦に地震の中断があったりしましたが、おおむね平穏にすぎて、売り切れ続出、とはならなかったもののどの公演も十分賑わっていたみたいです。

 

千秋楽は木村優里さん渡邊峻郁さんのゆりたかコンビでした。峻郁さん3回とみくりさん1回という偏った観劇体制でした。少しでも近くで見たい、と1階の席が多くなったのも偏っていたかも。上から見たほうがよい場面も多いのですが、近くで見るとみなさん美しくて、そこで最高点になってしまいます。

 

今日で終わりな解放感からか、幕開けのスケートがスピードついて大胆で、パーティーの客人もにこにこと華やかでした。関優奈さんのシュタルバウム夫人も表情豊かであでやかで、まだ若いダンサーさんなんですが、この貫禄と表現力、思いがけないダークホース登場でした。今日の峻郁さんの「甥」、ご挨拶で夫人の手の甲にさりげなくキスしていてキャーでした(すいません)

 

ドロッセルマイヤーの中島駿野さんは、年明けからしばらく休演していたのですが、元気に復活していてひと安心。ネズミの渡邊拓朗さんと、峻郁さんと3人とも長身の男性トリオでお芝居もすっきりしているのがとても好みでした。駿野さんと峻郁さんのコンビは、つじつまのあわない話を工夫してわかりやすくしている様子が伺えて面白かったのでした。

 

松林のパドドゥは情熱とダイナミック、2幕のクラシックパドドゥも音楽を使い切った踊りでした。優里さんの踊りはまだ、スタイルがこれから変わるかもと思わせるものも。峻郁さんは上半身が柔らかくなって、跳ぶのも回るのも軽さとキレが素晴らしいです。そらした背中から、気持ちが広がって行くのが見えました。

 

イーグリング版は無駄に難しいと言われていますが、今新国のダンサーさんたちを楽しめる点で、技術優先プログラムは悪くはないのかも。目の前でとても難しそうなことをやっている、という説得力は無二です。美しさとテクニックを、年末年始の雰囲気で楽しもうという客席の雰囲気が、今回はとくに感じられました。

 

 

 

画像

画像