新国立劇場バレエ団のDANCE to the Future 今シーズンはヤングNBJガラ、と銘打って、若手の古典グラン・パ・ド・ドゥを中心にした、3部のプログラムでした。

 

 

古典パ・ド・ドゥのトップバッターは廣川みくりさんと石山蓮さんの「ラ・バヤデール」 石山さんのソロルは技術が抜群なんですが、表情も雰囲気もしっかり。お芝居がいいのですよね、いつもその役の空気がさっと流れます。廣川さんはキュートなタイプなので、ニキヤは意外でしたが、厳かさがちゃんと出てました。緊張気味だったのかな、いつものみくりさんな踊りが見られないうちに終わってしまった感じが。

 

続いて中島春菜さんと渡邊拓朗さんの「眠れる森の美女」 大型美男美女でゴージャスでした。春菜さんが真珠が似合ってステキでしたー、お名前通りの春のお姫様。慎重にスタートした踊りでしたが、だんだん音楽にむかって解放していって一層あでやかに。拓朗さんは踊りがせかせかしないので演目にぴったり、髪のリボンもお似合いでした。

 

吉田朱里さんと仲村啓さんは「ジゼル」 朱里さんが少女の面影をやどすウィリで切なさあふれているし、ポーズのセンスが良くて眼福。仲村さんも役を作ってスキがない、丁寧で初々しいアルブレヒトでした。舞台にふたりきりなのでわかりにくいですが、超長身のコンビなのです。並んだ姿が似合っていて、今後に期待してしまいます。

 

しめくくりは金城帆香さんと山田悠貴さんの「ドン・キホーテ」 ショーマンシップな山田さんとするっと踊る金城さんのコンビネーションは独特の味わいでした。サポート系ピルエットがすっごく決まっていて気持ちよかったです。

 

休憩をはさんで、2部は団員自作コレクション。2021年秋のDTFで初演した作品から投票で選ばれて、2022年の「吉田都セレクション」で上演するはずが上演中止になってしまっていた、という3作です。

 

木村優里さんの「Coppélia Spiritoso」 はホフマン風味強めのコッペリア。優里さんの病んだ少女っぷりに、木村優子さんの再生クローンのっとりドールと、趣味の一編です。優里さんは自作自演でさすがなんですが、木村優子さんの踊りが強くてかっこよくて、ちょっと変な風味も絶妙でした。

 

木下嘉人さん振付の「人魚姫」は、米沢唯さんと渡邊峻郁さん。峻郁さんは初演のときは、青い普通のシャツで現代の青年だったのですが、再演はクラヴァットを長い首にマキマキのショパンなのかな?な衣装で、似合ってましたけど、王子さまキャラということになったのでしょうか。下は現代風だったんで謎でございました。唯さんの衣装は、人魚姫としてホントにうまい!というデザインで、よく似合うんですよね。もらった足が痛くて歩けない、のでずっと抱き上げられている人魚姫というモチーフを連続リフトで表現する、唯さん峻郁さんの、テクニックとセンチメンタルな甘さが両立するおふたりならではの作品です。木下さんありがとうございます🥰

 

「Passacaglia」も木下嘉人さん振付で、小野絢子・五月女遥・福岡雄大・木下嘉人、スゴすぎるメンバーです。パッサカリアの繰り返しを重ねるというよりは、メロディーのラインを意識した振付なので、バロック音楽から現代音楽のような雰囲気が出てくるのが面白かったです。

 

もう一度休憩をはさんで、ナチョ・ドゥアトの「ドゥエンデ」 若手メンバーと、ドゥアト側からのキャスティング?で、新鮮な顔ぶれでした。身体に強さが出た中島瑞生さんがセンター部分を守りましたが、西一義さんや小川尚宏さんが活躍したのが新鮮でした。赤井綾乃さんもやっぱりよかったです、思想をもってるダンサーのオモムキ。そして最初と最後を木村優子さんが担いました、優子さん、大型表現者になってました、いつのまにか。ドゥアト楽しかったです、違う作品もレパートリーに入れてほしいです~。

 

明日も見ます。となりでウィリアム・クリスティが「ヨハネ受難曲」やってるんですがやっぱりNBJだ! この略称は定着するんでしょうかね~