東京バレエ団の新演出「眠れる森の美女」を、オーロラ姫金子仁美さん、デジレ王子柄本弾さん、リラの精が榊優美枝さんの組み合わせの日に行きました。

 

斎藤友佳理監督が手掛けた新版ですが、就任以来、ブルメイステル版白鳥の湖と、監督の演出振付のくるみ割り人形と眠れる森の美女と、チャイコフスキーの3大バレエは全部リニューアルしたのですね。眠れる森の美女については、子どもむけ公演だけで本公演の上演はしばらく途絶えていたのだそうです。意外。

 

東バの眠れる森の美女は、大昔のマーゴ・フォンテーンが客演したのを見ています。当時、もう年齢的に踊れないと断ったフォンテーンに、どうせ日本の観客にはわかんないんだからとささちゅーが強行したというエピソードを読んだような。「マーゴ」が登場したら花が咲いたようだったのはおぼろげに覚えております。

 

 

 

 

最近映画などで見られる映像がロイヤル・バレエだったり、新国も英国よりな踊りになっているので、久しぶりにロシア派のゆったりと大きな、上半身を思い切り使った踊りの空間が嬉しかったです。全員うますぎるしキレイな人ばかりで、ソリストさんのお顔と名前が一致しにくいくらい。なかで背が高めの、リラの精の榊優美枝さんと、サファイアの精の平木菜子さんがとってもゴージャスでした。東バの平均身長はどれくらいなのかな、小柄でうまい人がそろっていると安定感があるのですが、長身バレリーナのダイナミックさも魅力ですよね。平木さんのような大型ホープさん、うまい活躍の場があるとよいのですが。

 

新版でまず注目な美術はエレーナ・キンクルスカヤ、衣装はユーリア・ベルリャーエワ。プログラムに顔写真と名前は載っているのですが、キャリアなどの説明はなし。ニコライ・フョードロフさんとその部下、みたいなチーム編成だったのかな? 美術はオーソドックスで、タペストリー風の幕がとくに好きでした。衣装もオーソドックス、なんですが、時代感のこだわりはナシ。マリインスキーの復刻豪華バージョンのデザインの影響もちょっとあるのかも、つりがね型にストライプのチュチュとかそんな感じですよね。とはいえあそこまでゴテゴテではなくて、色あいはシンプルくっきり、レトロ感がただようのはなぜだったのかしら。

 

宮廷の人々のお芝居が、もうちょっと工夫して、出入りなど面白いとよいのになあと思いました。斎藤バージョンで大きな振付場面としては、ワルツははっとするような展開はなし、森の妖精たちも美しいダンサーさんをもっとくっきり動かしてもよいのでは。なんかもったいなかったです。

 

宝石の踊りは、よくある振付の部分もありましたが、男性も入った全員のコーダがわりとランダムに見えて、宝石がきらきらと散らばるみたいでわくわく。

 

青い鳥は池本祥真さんと足立真理亜さん、おなじみなおふたり。池本さんのジャックナイフ跳び、というのかな、が物凄かったでした。あんな鋭角なの、久しぶりというか初めて見ました。足立さんはセンスのいい踊りで、無駄をしないのが無造作に見えるくらい。いいパ・ド・ドゥでした~

 

オーロラ姫の金子仁美さんはローズアダージオが完璧すぎて、もうちょっとふらついたりしたほうが盛り上がるんじゃないでしょうか、違うか。柄本弾さんはサポートがよくて、ソロは無理なく。フィッシュダイブじゃないアダージオもよいですね~、たしかに急にはしたないみたいに見えますよね、フィッシュダイブ。

 

東京バレエ団の新バージョン、見ているあいだはなぜまたこんな古い雰囲気に、と思ってしまったのですが、ナゾの衣装やナゾ展開に悩まない、こういう行き方はひとつの正解なのかも。ダンサーさんの実力をストレートに堪能できるのって、大事だったんですねやっぱり。