新国立劇場バレエ団初の名古屋公演という、愛知県芸術劇場での「ドン・キホーテ」。2日間の公演の初日は、地元名古屋出身の米沢唯さんの凱旋公演で華々しく幕開けだったそうです。2日め、11月4日のゆりたか組を見てきました。

 

冨田実里さん指揮のセントラル愛知交響楽団は古風な音色でミンクスに似合います。で、音楽がはじまったら感じる本拠地と違う微妙なアウェイ感、心配になったのですが大丈夫でした、公演は最大に盛り上がりました。

 

木村優里さんのキトリを3週末続けて見ることができたのですが、ケガ復帰の不安な表情からはじまって、足かけ2週間でこんなに変わるとは。10月21日公演のとき、筋肉のつき方が変わったせいなのか踊りがバラけて見えるなあと思ったのですが、3回の舞台できっちりまとめてきた上に、以前より強さも加わりました🥰

 

渡邊峻郁さんは完成型男性舞踊手のテクニック見本市みたいな踊り。いろんなの見せてもらった😍リフトが得意なのも男子的に重要です。1幕ラストの見せ場の片手リフト、高い位置でずっとキープから、さらにルルベ上げを見せて凄かった。優里さんが持ち上げられたまま😊まあ!という表情で反応していたのも効果抜群で、1幕から盛り上がりでした。

 

キャスト発表から楽しみにしていた、ジュアニッタ山本涼杏さんとピッキリア花形悠月さんはさらに踊りが大きく華やかになって、峻郁バジルとのトリオはきらめく花火のようでした。悠月さんは堅実派な印象だったのですが、お芝居上手で、酒場のシーンで、迷惑な酔っぱらい設定でワインのラッパ飲みまで見せててびっくりしました。吉例「バジルと薔薇」は、花びらをワインにつけて、薔薇カクテルの香りをみんな楽しんで!という展開でした。というのがわかるのは、お友達ふたりもアドリブによく反応しているんですね~面白かったです。

 

井澤駿さんのエスパーダ、原田舞子さんのカスタネットの踊り、益田裕子さんのメルセデスが華やかなんですが、駿さんが口ヒゲをつけていて、キャラクターも大変身で踊りも自由に。イロモノ展開で恋のさや当て感がだいぶ薄れたような。

 

狂言自殺のところで、ソデから机に飛び乗るバジルが片膝?をぶつけたのか、体勢をくずして机もグラグラしてかなり危ないことに。心配しましたが持ち直してよかったでした。

 

夢の場は群舞のまとまりが美しく、あと、中島駿野さんのドン・キホーテが文学系で、いかにも夢を見そうなのが説得力あります。春のような中島春菜さん、プリマに王手の廣川みくりさん、風格が出た木村優里さんのトリオがあでやかでした。

 

グラン・パ・ド・ドゥも今まで一番のできばえ。片足をおろしながらのサポートピルエットがやっと成功してまして、前2回は中途半端だったんですよね💦プロムナードもなんだかよくわからない腕ひねりが入っていたり、バランスも作れてました。峻郁さんはレボルターがナナメの角度をせめて凄かったのと、540も高い位置でキメました。優里さんはフェッテできれいなトリプル4セットを。こっちもここまで、3だったり2だったり追加したりだったんですよね、急速な完成度アゲにただただ驚きました。

 

はじまる前の客席はスタオベとか絶対ない雰囲気と観察しましたが、2どめのカーテンコールで皆さんざざっと立ち上がって圧巻でした。バレエ団全体の勢いと、ソリストの技術、そしてゆりたかコンビは技術と華と、あとふたりの信頼感というか愛というか、が素直に劇場にひろがって、とてもいい公演でした。新国ドンキ2023の、大千秋楽にふさわしかったです🥰