新国ドンキ、10月28日ソワレは木村優里さん渡邊峻郁さん、今シリーズ2回目の登場でした。

 

キトリの木村優里さんが完全復調してました。前回踊り方が?というところもあったのですが、余計な力が入っていたのかなあ、動きに無駄がなくなって、今までの優里さんのラインが戻ってきてさらに強さも加わっていました。

 

バジルの峻郁さんは、恋人キトリへの熱い目線と、パートナー優里さんの踊りへの目配りと、自分の超絶技巧と、目まぐるしく切り替えながらミッションコンプリートでした。動きの基本の切れ味がひとつ上がったというか、閃光のような踊りぶりで、どの瞬間も切り出したエッジが見えるみたい。技の最後に「ザンレール」の大盤振る舞いをやってましたが、あれ本当はとても難しいことなんですよね、観客もっと反応してほしい、当たり前みたいに見えちゃう(笑) 

 

抜擢の初役が多いこの組ですが、2度めの登場になって、そろって舞台ぶりが上がって華やかに充実しました。先週のデビュー回だってリハーサルを積み重ねて万全な踊りを見せてくれたわけですが、とくに若手のダンサーさんにとって、劇場で観客の前で踊る経験というのは本当に大事なのですね。舞台の輝きがさらに増していました。

 

キトリのお友達の山本涼杏さんと花形悠月さんは魅力倍増でした、かわいかったー、踊りも素晴らしい。バジルとのお芝居のやりとりが多い役なのですが、ふたりとも自然でアドリブにもしっかり対応していました。酒場のシーンで、キトリがエスパーダからもらった薔薇を、バジルがとりあげて、ワインのカップにさかさまにしてつっこむという暴挙をしていましたが、お友達ふたりが「お花がかわいそう!」とちゃんと活け直してあげるのでした。バジルさんがそのあと花入りカップを高くかかげたり有効活用していたのもよかったですw 峻郁さん、「不思議の国のアリス」のときの、廷臣役でベンチにいたときも面白かったのですが、こういうフリータイム?を組み立てていくのが上手ですよね、さすがです。

 

森の女王の内田美聡さんも大きく変化。入団間もない新人さんの大抜擢ですが、舞台に慣れたのか、もともとの美貌がさらに輝いていました。いやちょっと、驚くほど華やかに整ったお顔だちで、長身のラインも絶品。大きくゆったりした踊りも求心力が増していました。

 

エスパーダと街の踊り子は、井澤駿さんと柴山紗帆さん。主役カップルがこの位置に出てくれると、顔見世舞台ですよねー、渡邊井澤柴山木村(年の順)と並ぶと、新国次世代の看板役者お披露目口上といいますか。

 

ヨーロッパの名優のような複雑さで登場していたのが奥村康祐さんのガマーシュ。舞台が一瞬で多層的になるというか、さすが、なんですがやっぱりちょっと勿体ないです。エスパーダで出てもよかったんじゃないかなあ、全然違うキャラクターを作ってくれたのでは。ポジション的にそういう配役はできないのかしら。

 

指揮は冨田美里さん、今回はゆりたか組専属でしたので、主役おふたりとも申し合わせなどかなりあったのでは。あと群舞をひっぱるパワーも素晴らしいです。街のひとびと、ジプシー、ファンダンゴとそれぞれ見ごたえありました。ファンダンゴの純白の衣装、昔は日本のバレエ団の男性ダンサーがこれを着るのは厳しいなと思ったものですが、今やお楽しみ物件に。新国男子は容姿も充実。

 

中島瑞生さんはボレロのデビュー。美男美女の洪水におぼれそうになっていたのに、まだ美形が残っていたのかとホントに驚いたわ。かっこいい川口藍さんを相手に、イロモノの味付けもちょっとよかったです。

 

グラン・パ・ド・ドゥは華麗にして清楚。やりようによっては大時代に見えてしまう踊りですが、このおふたりの感覚が古く見せません。ちょっとずつ入れた動きのアレンジがお洒落で素敵でした。コーダはちゃんと盛り上げました。峻郁さんが540でちょっとお手付きしたのもご愛敬というか、そのあとよりいっそうのバカテクで踊りまくってくれてお得でした。

 

ゆりたかを中心に、ある意味吉田都監督の采配の見せ所、というか、新しい人をどこにどう出す、という「賭け」が見事に当たった素晴らしいステージでした。充実しすぎで疲れたわ~

 

画像

画像