新国立劇場の2023‐24シーズンのオープニングのオペラ、プッチーニの「修道女アンジェリカ」とラヴェルの「子どもと魔法」のダブルビル公演、初日に行ってきました。

 

入場のときに荷物検査があって、背広の人がウロウロ、かしこきあたりからどなたがいらっしゃるのかと思っていましたら、秋篠宮両殿下のおでましでした。都倉俊一文化庁長官もカーテン前で挨拶して、芸術の秋らしいスタートでした。

 

「修道女アンジェリカ」ははじめて。プッチーニの三部作のひとつなのですね、女性だけの修道院というシチュエーションがよかったです。粟国淳演出、横田あつみ美術、オーソドックスとはいえ高くそびえる建物に、長い廊下はスライドステージで表現したり贅沢な舞台でした。歌はやはり、キアーラ・イゾットンのヒロインのなんともつややかな美声が圧倒しましたが、国内の女声陣もまろやかに歌ってヴォリュームも十分でした。内容も音楽もワンテーマですっきりという感じ。

 

衣装が修道女なので、それにしか見えないわけですが、もうちょっと、歩き方とか、宗教者らしい感じはなくてもよかったのかな。神職さんとかお坊さんとか無駄なく速く歩くイメージがあるので、そういう修行の厳しさを感じさせるような挙措動作も演出してくれればいいのにと思いました。ヒロインアンジェリカは修道院にひとりはいる、薬草の名手なのですが、植物のいじり方とかもちょっと工夫しようよと思ったです。

 

オーケストラは沼尻竜典指揮の東京フィル。プッチーニはなんだか普通で、ラヴェルで本領発揮でした。

 

「子どもと魔法」はラヴェルらしいオーケストラのマジックがいっぱい。この音どうやって出てるんだ?という作品なので、劇場で生で聞けて幸せ。フランス語の発音も皆さんかっこよかったです。

 

こちらはダンスがたっぷり。谷桃子バレエ団の伊藤範子さんの振付で、一見オーソドックスですが、実はトリッキーな動きとか、技術的にも見せ場があってホントに素晴らしかったです。

 

https://x.com/nntt_opera/status/1708308295038149053?s=20

 

山口緋奈子さんの白猫がゴージャスでした。カエルトリオが超絶にかわいかったり、歌手の方にも振付されていて、いろいろなキャラクターが巧みに表現されていました。

 

こちらは室内から庭へ出るという変化があるのですが、舞台いっぱいの巨大な樹木や池が大ゼリで粛々とせりあがってくるという、こちらも贅沢なスペクタクルでした。バレエは踊るスペースを確保しなければなので、こういう装置の見せ場はあまりないのですよね。とはいえ予算の違いが… 今シーズンの新国立劇場バレエ団って衣装の新調もほぼほぼ無いのでは😢 ちょっとわけてほしいです。

 

両方通して見ると、なぜこの組み合わせのダブルビル?という。プッチーニとラヴェルってなぜか水と油だし、両方女声が中心なのは好きでしたけど、オープニング演目としてはナゾの穏やか路線だったのでした。