8月6日の日曜日、「Rain」終演後階段をあがって、オペラ劇場の「バレエ・アステラス」に移動しました。この週末は中劇場ではNBAバレエ団の「ドラキュラ」が上演されていまして、土曜日は小劇場→オペラパレス→中劇場の夜公演というトリプルはしごが可能だったそうです。新国グランドスラムとか言われてました。

 

 

今年のゲスト枠は石原古都さんと吉川シャール ルイさんだったのですが、石原さんが体調不良で降板して、演目変更がありました。キャシー・マーストンの「三人姉妹」のなかの、「In Our Wishes」が見られなくなりまして、残念。

 

序曲は今までの「眠れる森の美女」3幕の導入曲からかわって、同じチャイコフスキーの「テーマとヴァリエーション」の最後のところになりました。デヴィッド・ガルフォース指揮東京フィルハーモニー交響楽団。

 

幕開けは牧阿佐美振付の、グノーの「シンフォニエッタ」 研修所のみなさんで、きれいでした。男子も最近ちょっとさびしかったのですが、今回は揃ってました。

 

「Love Fear Loss」よりLossのパドドゥは、エディット・ピアフの曲をピアノ演奏で、アトランタ・バレエの五十嵐絵梨さんとセルジオ・マセロさん。さりげないけれどお洒落で、最後にあっという大技のリフトがありました。振付はリカルド・アマランテ、ショウビズダンス系な作品を作れる方みたい。

 

「サタネラ」のパ・ド・ドゥは、後藤絢美さんと三宅啄未さんのペアで。ABTのスタジオ・カンパニーのお二人で、三宅さんはロイヤル・バレエ・スクールを最優秀で卒業されたとか。クセがあって難しいサタネラの男性パートを拍手喝采で踊りきりました。あまり大柄ではないようなので、今後の進路も注目です。

 

「夏の夜の夢」よりファイナル・パ・ド・ドゥは、クイーンズランド・バレエの吉田百々香さんとジョール・ウォーナーさんで、リアム・スカーレットの振付。事件以来表舞台から消えていたスカーレットの作品が、美しく復活していました。あのときのヒステリー状態はなんだったのでしょう、本当に残念です。作品は、メンデルスゾーンのあの最後のパ・ド・ドゥの曲で、ちらっと目配せのように、アシュトンの振付を思い出すようなポイントがあります。オーベロンが青い衣装に大きな隈取系メイクをしているのがとってもステキなのでした。温かいパ・ド・ドゥ。

 

「コッペリア」はオランダ国立バレエのジェシカ・シュアンさんと山田翔さん。シュアンさんが吉田都さんを彷彿とする踊りで、見た目もちょっとだけ似ているかも? 意外なところに意外な人が、という感じでした。

 

「アルルの女」を、チューリヒ・バレエの吉川シャール ルイさんで。ローラン・プティアレルギーになっているんですが(しくしく)、細部まで丁寧な名演でした。

 

一部のトリは木村優里さんと中家正博さんの「ジゼル」 つま先の細かい動きが、まだリハビリから本調子に戻りきっていない感じがしてちょっと意外。ここで木村・中家コンビが見られたのは嬉しかったです🥰

 

第二部の幕開けは、ミラノ・スカラ座バレエ・アカデミーから2作、「Largo」と「ラ・フィユ・マル・ガルデ」 バッハのチェロ独奏のLargoは、センターの女性がかっこよくて見とれました。

 

バーミンガム・ロイヤルの栗原ゆうさんとマイリス・ギルバーさんはアコスタ版「ドン・キホーテ」そんなに違うところはないのですが、純白に金色のキラキラ衣装がまぶしかったです。

 

ネザーランド・ダンスーシアター1の刈谷円香さんとパクストン・リケッツさんは「SOON」 メディ・ワレルスキーの振付で、あっという間に終わってしまいました、面白かった~ 去年に続けての出演で、世界のトレンドとアステラス、をつないでくださる貴重なペアなのでした。

 

もうひと組バーミンガムから、水谷実喜さんとロックラン・モナハンさんで、ビントレーの「ロミオとジュリエット」 「Shakespeare Suite」という、デューク・エリントンを使った作品からで、衣装といいミュージカルタッチでした。シェイクスピアのオムニバス的な作品なのでしょうか、見てみたいですね~。

 

大トリは吉山シャール ルイさんとジェシカ・シュアンさんの「眠れる森の美女」 石原さんの降板で、シュアンさんがジャンプイン。急なペアとは思えない超安定のパ・ド・ドゥでした。シュアンさんはオランダ国立バレエのプリマですが、元キーロフのラリッサ・レジュニナさんが指導スタッフにいるのではないでしょうか? そんな面影を探してしまうオーロラ姫でした。

 

フィナーレは今までのグラズノフのバレエ組曲からかわって、チャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」の舞踏会の曲でした。世界で活躍する日本人ダンサーを紹介する、という趣旨の公演ですが、来日公演などがないバレエ団の、日常レパートリーが垣間見れたりするのが面白かったでした。