東京二期会と、阪哲朗指揮山形交響楽団のモーツァルト「フィガロの結婚」を、やまぎん県民ホールで見てきました。

 

山形と二期会でモーツァルト、は、2021年10月の「魔笛」に続いてでした。どちらも宮本亞門演出で、こちらのフィガロのほうが先で、もう20年上演されているプロダクションで、亞門さんの二期会デビューな作品だったとか。衣装は基本オーソドックスで、奇をてらったことはしませんが話がとにかくよくわかるし動きのアクセントも上手。装置は3、4幕で空間が広がる感じが魅力でした。

 

阪哲朗さん率いる山響はピリオド系演奏に寄せていて、今回もトランペットとホルンはナチュラルのものだったそうです。編成も小さ目だったのか、各部の音がクリアに聞こえました。序曲のキザミからもう、はっきり違いましたもんね。

 

ソロ伴奏の部分は、阪さんがフォルテピアノを弾きましたが、独奏チェロが加わって通奏低音チームになっていて、自在に歌とイキを合わせていました。ほぼアドリブに近いようだったのに、ついていくチェロは凄いなと思っていたら、カーテンコールで阪さんが真っ先に立たせたのがチェロ奏者さんでした、やっぱり。

 

フィガロとスザンナは萩原潤さんと種谷典子さん、ふたりとも動けて芝居上手。大柄ゴージャスなアルマヴィーヴァ伯爵大沼徹さんと伯爵夫人高橋絵理さん組とバランスがよかったです。

種谷さんと高橋さんの女声コンビが魅力で、手紙の二重唱は気が遠くなりそうな美しさでした。よく、モーツァルトは天上の美しさと言われますが、実はあまり実感したことがなかったのですが、今回の「フィガロ」では、この場面をはじめ、天から降ってきたような音楽体験ができました。

 

軍服姿もかっこよかったケルビーノの小林由佳さんはじめ、クセものキャラクターの皆さん達者で、阪さんの指揮の重唱シーンは盛り上がりまくり。2幕が終わった休憩では、客席で「面白い~」の声があちこちから聞こえてきました。ほぼ満員の観客で、アリアへの拍手が全体に早すぎたのは、オペラ慣れはしていないけれど拍手しないではいられないかな、という雰囲気だったのかも。4幕のスザンナのアリアは曲の途中で拍手が入ってしまって、指揮の阪さんが腕を後ろに伸ばして、客席を制する場面も💦 アリアが無事すんだらさあどうぞ拍手を十分に、と目くばせしてたのがイキでした。

 

雪の季節の山形で転ぶんじゃないかと不安だったのですが、新幹線も無事動いたし、でかけてホントによかったでした。シェフとオーケストラのコンビネーション、とくにオペラだと自由自在ぶりがよくわかって、やはり見逃せない舞台でした。劇場も最高で、音楽が建物の壁をつたって天井にあがって、ゆっくり降ってくるように聞こえました。来ている方たちの雰囲気もいいんですよね、ヨソモノ的に羨ましかったです。

 

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