千秋楽の前の日の「新春浅草歌舞伎」、第1部を見てきました。双蝶々曲輪日記の「引窓」と、「男女道成寺」の二本立てで、幕間30分をはさんで2時間半弱の舞台でした。

 

浅草公会堂で上演されるお正月の花形歌舞伎、前に一度見て、若手の熱意と地元の心くばりと、気持ちのいいお芝居でしたので、またと思っていたら、コロナで開催見合わせになって、3年ぶりの再開なのだそうです。

 

引窓は、与兵衛が中村隼人、濡髪が中村橋之助、お早が坂東新悟、母お幸が上村吉弥。橋之助さんは、稲垣吾郎さんのお芝居「サンソン」でルイ16世を演じて以来気になる若手役者さんで応援モード。お尋ね者のカゲリがよかったです。

 

隼人さんは仁左衛門さまに教わったとのこと、よく写してました~、お顔はキレイだけどなタイプになる方かと思っていました、すみません。誠実に丁寧なオーソドックスなお芝居ですが、ちゃんと客席をひきつける花やかさが出せていて素敵でした。

 

新悟さんと吉弥さんもよく、竹本を大事にしたお芝居ですみずみまできっちり。三味線のかけ声が沢山入りましたが、歌舞伎では珍しいのでは。浄瑠璃の詞章がていねいに伝わってくる舞台でした。

 

双蝶々曲輪日記、文楽では半通しくらいはわりと出ることがあって、人形同士のお相撲の場面が面白いです。人形なので遠慮なく飛ばされたりしています(笑) 楷書で演じる若手で見ると、もとの文楽の舞台と雰囲気がちょっと似ていますね、つるんとした見た目のせいかしら。

 

「男女道成寺」は、坂東巳之助と坂東新悟、当然男が巳之助さんです。

 

巳之助さんのお母様の、寿ひずるさん、宝塚時代大ファンだったのでした、突然の退団のショックは忘れられません。せめて面影をと思うのですが、舞台全然似てませんね~、ですが考える歌舞伎役者、巳之助さんは面白くて目が離せないんですよね。新悟さんとは合うような合わないような、でしたがめりはりを上手につけて、とっても華やかな一幕でした。

 

浅草の歌舞伎は歌舞伎座とはまた雰囲気が違って、客席も歌舞伎慣れしていないようで、どうなるかとちょっと思ったのですが、舞台が始まったらとても集中して、とても盛り上がっていました。浅草に歌舞伎を、という地元の熱意もそこかしこに感じて、でかけてよかったです。

 

 

新春浅草歌舞伎