新国立劇場中劇場で、9月3日の公演「小林紀子バレエ・シアター『アシュトン・マクミランプログラム』を見ました。15時30分開演17時10分終演とコンパクトですが、踊りの密度は濃かったです。

 

 

1983年の英国ロイヤル・バレエ団来日公演のミックス・プロが「スケートをする人々」「田園の出来事」「音楽会」で、このとき見てました、「音楽会」はロビンスの「コンサート」で、今月末にスター・ダンサーズ・バレエ団が日本初演します。

 

スケートをする人々=「レ・パティヌール」は40年ぶりに見ました。「コンサート」も40年ぶりに見ることになりそう、若き日の思い出な9月。

 

小林紀子バレエ・シアターの「レ・パティヌール」は定番、なくらい上演されているそうで、今まで見逃していたのを後悔しました、楽しかった~ 男女4組のアンサンブル、ブルーとレッドの女性ペア2組、メインの白いペアにブルー・ボーイ、出入りも組み合わせも洒落ていて、アシュトンですから動きはキュート、ちょっとした芝居っけも皆さんほどよくつけられていました。

 

島添亮子さんと八幡顕光さんが別格な動き。島添さんのアシュトン度の高さは、もう世界的に誰にも追い付けないのではないでしょうか。島添さんは次のマクミラン度も抜群でした。八幡さんは凄い動きに気品があって、作品の世界を作っていました。

 

マクミランの「ザ・フォーシーズンズ」は、日本初演。ヴェルディの「シチリアの晩鐘」のバレエシーンの曲を中心にアレンジされた作品だそうで、「レ・パティヌール」がマイヤベーアで、オペラ由来の音楽二本立てでした。

 

マクミランとヴェルディはあまり合わないですわね、というかヴェルディのオペラの中のバレエ音楽ってなんだか踊りにくそうで、そんなぎくしゃく加減が一周まわって作品の特長になっていたような不思議感がありました。

 

アンサンブルを従えて、冬は女2男1、春は女1男3、夏は女1男1、秋は女1男2、それぞれにソロのヴァリエーションがあった、と思うのですが、そうするとソロだけで12曲、うち男性ヴァリエーションが7曲ですので、見ていて男子大活躍でした。ゲストの方が中心だったようですが、ちょっとクセのある振付を皆さん確実に踊っていてさすが。日本バレエ界も男子豊作時代になりました。

 

「春」で男子3人を従えて踊った真野琴絵さんが、音楽性もポーズのよさも素晴らしくて、ノリの悪いヴェルディの曲がそこだけくっきり響いてきました。アダージオの間男性3人に持ち上げられっぱなしなんですが、少しも乱れないフォルムが見事でした。本日のハイライト。

 

先日からマクミラン群舞ダメ説を唱えているのですが、フォーシーズンズも群舞つまらなかったです、右から左へ動くだけみたいな、少人数アンサンブルだと面白いのに、なんででしょう。ヴェルディの歌と違ってバレエシーンのやる気のなさはなんなのだろうかとか、思うところもありましたが、初めて見る作品を楽しめました。バレエ団の顔見世的作品とも言われているそうで、一度にいろんな人が見られる使い勝手のいい作品かも。

 

音楽は井田勝大さん指揮東京ニューフィルハーモニック管弦楽団。マイヤベーアはもっとベタな派手さが欲しかったですが、ヴェルディは無駄に?難しい管楽器のソロを見事に聞かせてもらいました。