大阪府枚方市の新国立劇場バレエ団の「クラシックバレエハイライト」公演、もう逃げきれるかと安心していた木曜日になって中止発表でした。ハンパな時期に峻郁さんが見られるの楽しみにしてたのですが。

 

というわけで、遠征にあたって見られないタイミングだわと残念に思っていた、Kバレエカンパニーの公演に当日券で行ってきました。2階の見やすい席がありました。

 

最初が熊川哲也振付の「シンプル・シンフォニー」 ブリテンのこの曲はバレエではおなじみです。井田勝大指揮シアターオーケストラトーキョーの演奏は、擬古典の曲をてらいなく演奏していました。熊川さんの振付はロイヤル・バレエで踊っていた人らしく、アシュトンのようなきびきびした動きですけど、今回は映画「赤い靴」のバレエシーンもなんとなく連想しました。あの時代のネオクラシックの、ちょっと外した動きの入る踊りと似ているのかも。

 

ソリストは成田紗弥 髙橋裕哉 小林美奈 山田夏生 杉野慧 吉田周平 ひと組とアンサンブルのふた組で構成が面白かったです。女性のほうが堂々としていたかも。

 

休憩をはさんで「FLOW ROUTE」 渡辺レイ振付、ベートーヴェンを使った3パートの作品で、古くはないのですが見慣れた感じの言葉づかい、とはいえ言葉の種類がとても豊富なダンスでした。ソリストは飯島望未 山本雅也

 

飯島望未さんの洗練された佇まいとすっきりした表現に目をひかれました。バレエダンサーのコンテンポラリーは、コンテらしい外した角度を作るために力が入ることが多いのですが、飯島さんの場合そういうポジションに無駄なくすっと入っていきます。見たことないタイプのプリマで、かなりときめきました♪

 

もうひとつ休憩をはさんで、本題「クラリモンド~死霊の恋~」 熊川哲也振付で、先行作品に場面をプラスして、60分の中編にしたそうです。テオフィル・ゴーティエ原作、音楽はショパンの二つのコンチェルトを中心に、管弦楽に編曲したピアノ曲などの組み合わせでした。

 

ゴーティエというと「ジゼル」ですし、同じ作者のホラー系愛の物語、バレエと相性のいい原作を見つけてうまいなあ。主人公が出家するシーンと、死霊の恋人が出てくるシーンが最初で、途中の華やかな娼舘のくだりが今回新しく作られたのだそうです。

 

クラリモンド 日髙世菜 ロミュオー 堀内將平 セラピオン 石橋奬也 バーバラ 浅川紫織 が主な配役 関野海斗さんのロートレックも目立つキャラクターでした。ロートレックが出てきたのでカンカンがあるかと思いましたがそんなことはなかった。

 

ヴァンパイア版椿姫に音楽はショパン、時代設定はベルエポック、うまくまとまっていて、熊川さんの作り手としての充実ぶりを感じました。クラリモンドは華やかな娼婦、恋する病弱美女、バケて出るヴァンパイアと魅力なヒロインで、バレリーナが踊ってみたい役になりそう。日高世菜さんは足の強さがヒロインを語り、堀内將平さんもたくさんのステップを全部シュアに踊りきっていました。

 

ショパンのコンチェルトは塚越恭平さんが弾きましたが、美しい音色の若いピアニストさん。このバレエの編曲が、ここぞというところでコンチェルト、つまりピアノが入る構成になっていて、表現のメリハリがすごくうまく出ていました。透明感のあるピアノ演奏の効果もとても大きかったように思います。

 

予定と違う週末になったのですが、トリプル・ビルはとてもよかったです。よかったのですが、全幕公演と比べると人気がないのでしょうか、ちょっと緊張してでかけたのですが、感染の危険をあまり感じない観劇でした。ミックスプログラムがもっと盛んになりますように。