彩の国さいたま芸術劇場で、「Duplex Noism0/Noism1」を見ました。

 

森優貴振付「Das Zimmer」と、金森穣振付「残影の庭~Traces Garden」、短い2本を小劇場で間近に見る公演でした。

 

森優貴作品は椅子とラフマニノフ、衣装は今世紀はじめの東欧といったイメージで、スタジオ空間でぎゅっとつまった踊りでした。ダンサーさんの動きが素晴らしくて、芝居がかりすぎない人間関係も決まってました。一曲だけショパンで、あとはラフマニノフの前奏曲中心でした。

 

ラフマニノフ、時代は現代音楽へ移行している中でロマンチックな歌い上げ路線の曲を作っていて、わりとバカにされていたりという状況もあったそうです。ダンスを見ていて、そういうラフマニノフの屈折をとても感じたのは振付が音のウラを掬い取る効果があったのかしら。女性で一番背が高くて、ショートカットのダンサーさんが踊りの密度みっしりで見入ってしまったのですが、杉野可林さんなのかな、お顔の写真だとそのようなのですが。

 

「残影の庭」は、武満徹の「秋庭歌一具」で踊られる新作。京都のローム・シアターの委嘱で、伶楽舎との共演が前提の新作だったそうです。

 

「秋庭歌一具」は、2016年にやはり伶楽舎と、勅使川原三郎さんがコラボした公演をオペラシティで見ています。タケミツホールで舞台上部にも楽器がいて、まさに天上から降る音楽を体験しました。この作品は知らなかったのですが、雅楽と武満はこんないいものがあったのか!でした。wikiによると、かつて国立劇場が委嘱して、この作品ができたとか。今回の委嘱のロームシアターといい、劇場の「委嘱」って資金調達だけでない凄いものを生み出すんですね

 

ロームシアターの公演の様子を見ると、オーソドックスな舞楽の配置で行われていたようで、埼玉、新潟でもかな、のスタジオでのダンスとはかなり趣が変わったのかも。これは生演奏で見たかったです、録音でもちゃんと素晴らしかったですが。

 

金森穣・井関佐和子・山田勇気 3人の踊りを間近でたっぷり見る贅沢。冒頭からこれは舞楽の動きだ、と思えるダンスで美しくて映えました。かねがね、舞楽をスーパーうまいダンサーが踊るとどうなるのか見てみたいと思っていましたが、夢が叶いました。衣装にもうちょっと、帯とか肩口とか飾りをつけてくれてもよかったのになあ。

 

お能とも日本舞踊とも違う動きで、笙や篳篥に呼応して、さらに武満徹の音楽を息をつかうようにキャッチしていて奇跡のようでした。金森さんの凄さを思い知った公演でした。井関さんは自由で気儘そうな姫神さまで魅力でした(*´艸`*)