2013年12月収録で、すでに日本でも2014年ころに上映されたそうです。今回はリバイバルということでしょうか、見損ねていたのでありがたく映画館へ行きました。

 

 

ツイッターなどで映画の映像の音が遅れているという話が出ていましたが、ホントにズレてました。序曲でいきなり、弦楽チームが休符で一斉に弓を離したのに輝くサウンドが😢 ウワサを聞いていたので気が付いたのかな、でも途中でヘンだと思ったかなあ。脳内補正で見ていたせいか、ぐったり疲れてしまいました。

 

ヌレエフ版の眠り、プティパというよりキーロフ・バレエのセルゲイエフ版が残されていて、王子の踊りやワルツ、結婚式の幕のサラバンドなどが独自の部分でした。妖精のカヴァリエも4人の王子も飛んだり回ったり踊ります。

 

デジレ王子はなんといっても、長いヴァイオリンソロの間奏曲をまるまる使うソロが長すぎで大変です。映画のマチアス・エイマンは技術も表現も完璧、これはスカ王子で見たら残念シーンになってしまう。エイマンはここのところ怪我休演が続いていて、そうこうしているうちにコロナ騒動。こういう素晴らしい映像がありがたいです。

 

オーロラ姫は原典通りだわ、あれ? 森のシーンもマリインスキーの振付とほぼ同じ。ミリアム・ウルド=ブラームの踊りは頭が良くて感性が柔軟で、ヌケ感があるのがエレガントです。エイマンもヌケ感があるので二人の踊りは本当に相性がよくて素晴らしい。この映像は上映以外に出ていないそうなので、映画館まで行った甲斐がありました。でも音がズレていたのですよね、残念すぎます。

 

バスチーユのほうの上演で、舞台が広くて超ゴージャス。まわりの貴族も普通のバレエ団の3倍くらい人数がいて、その人たちが舞台中央に背中を向けて話しこんだりしていて、貴族でごった返していたというベルサイユ宮殿てこんなだったのでしょうか。青い鳥もわいわい人がいる中から出てくる感じ。

 

ずっとヌレエフの振付が苦手だったのですが、「眠り」は違和感がなくて、時間がたって自分の見方も変わってきたのかな? 今回印象に残ったのが結婚式冒頭で国王夫妻も踊る「サラバンド」でバロックダンス風のゆったり大きな動きが面白かったです。ヌレエフ、フランス貴族の大仰な感じをすごく上手く表現していました。リラの精とカラボスのマイムなどもそういう流れの統一感があったかと。

 

青い鳥はヴァレンティーヌ・コラサントとフランソワ・アリュ。最初のクレジットがオーロラと王子と、青い鳥の二人だけが出ていて大きな役なんですねやっぱり。アリュは白塗りに青い口紅というイロモノ系な登場で、超絶技術で沸きに沸かせていました。このあと役付きで停滞してしまっていて気の毒です、この舞台を見ると輝く未来としか思えないのですが。

 

女性陣はこのあと大出世の人がちょっと少なめなキャスティングで、男子のほうが多士済々でした。バレエ界は男性ダンサーの有望な人が世界的に増えていて、そうすると今までの古典では男子の出番がなさすぎなんですよね。古典の改訂って今はいかに男性を活躍させるか、が重要になってます。ヌレエフはその先駆者でした。トゥールーズ・キャピトルバレエの配信映像からヌレエフブームだわー。