🔞BL妄想(S×N)














「OK。カットー」






監督の声が耳に届いて



翔はハッと我に返った。








今・・・自分は完全に、




撮影だという事を忘れてた。









一瞬、呆然とする翔の前では、





「手、大丈夫でした?

力ちょっと強かったかな」


「いえ。大丈夫ですよ」


「良かった。思った以上に

カズさんの手首が細くって

ドキッとしちゃいましたよ」


「すいません。ひ弱でw」


「あ、いえ、違いますよ。

そう意味じゃなくて・・・」


「ふふっ。冗談です」








カズと不良役の男たちとの



そんな楽しそうなやり取りが。








カズは、過剰なくらい自分に


コンプレックスを持っていて



例えば、これが芝居じゃなく


こんな扱いを受けたとしたら



ますます『劣等感』を感じて



自分を否定するのかもしれない。







それでも基本、外向けのカズは



恐ろしいほどに『人たらし』だ。






とても自分に自信が持てないと


嘆いているようには見えないし



どちらかと言えば魅力的なのだ。









(ファン相手じゃないのに

そんな愛想振りまくなっての)







ふふとカズに微笑みかけられて



少し照れくさそうにする男たち。









・・・そんな光景を前に翔は、





よく分からない焦燥感を感じていた。