🔞BL妄想(S×N)














「もう一度 確認するけど

俺、嫌われてないんだな?」






翔は珈琲をひと口ノドに通して



それから正面のカズを見据えた。






その真剣な眼差しに、何となく


ドキドキしている気がするのは


どういう心情なんだろうか、と



何だかイヤな汗が背中を伝った。








「・・・だと・・・思う」






こうして真っ直ぐに真剣な翔の


この漆黒の瞳を受け止めたのも



あの初対面の挨拶以来な気がする。







・・・そうだ、とカズは思った。





あの時の『劣等感』の正体だった。



この瞳が一番苦手だと思ったのだ。






全てを曝け出されてしまいそうな。





自分の暴かれたくない奥の奥まで


覗き込まれていそうな、この瞳が。





この真っ直ぐな瞳から逃れようと


顔を合わせることが出来なかった。




それがここまで来てしまったんだ。






取り調べを受けてる犯人みたいな。



きっとそんな気持ちになったんだ。





胸のドキドキもそういうことなんだ。









「俺はさ、お前に嫉妬、

してたんだと思う。多分」





そんなふうに自分で納得して 


心の中で頷いたカズだったが、




翔から意外過ぎる言葉が出て



思わず『嘘だろ』と口にしてた。








「嘘じゃない。こうなりゃ

正直に言うけどさ、初めて

会った時から思ってたんだ。

俺に持ってないものを全部

持ってるんじゃないかって」


「っ・・・信じらんないよ。

だって、そもそもそんなのは

こっちのセリフなんだから」


「は?どういう意味だ?」


「そのまんま。俺はあの時、

お前に嫉妬してた。逞しくて

男らしくてなんか爽やかでさ。

俺とは正反対でイラついた」


「お、お前なんて、肌とか

透明感があってスゲー綺麗で

こんなの変だけど、可愛くて。

きっと俺みたいにガサツじゃ

ないんだろうなって思ったし。

ぶっちゃけ羨ましかったよ」







言い終わって、翔は気づいた。




これって俺ら二人でお互いを


褒め合ってるだけじゃないか?






カズも目をまん丸にしてるし、



何ならその頬は赤くなってる。






なぜこんなことになったのか



本当に想像もしてなかったが、





今更になって翔も照れ臭くて



カッと顔が熱くなった気がした。