🔞BL妄想(S×N)
「うん。美味い。
塩加減がマジ絶妙」
翔はフォークでクルクルと
目の前のパスタを巻き取り
大き過ぎるひと口を食べて
嬉しそうに感想を漏らした。
「才能あるよ。お前」
「ナポリタンなんて
ケチャップの味だろ?
誰が作っても同じだよ」
珍しく素直に褒めてくる翔に、
カズは少し照れくさくなって
そんな素っ気ない言葉を返す。
なんだか翔が、いつもと違う。
カズはそんな風に感じていた。
今回の同居も翔はカズと同じ。
決して乗り気じゃあなかった。
最初は文句を言ってたハズだ。
なのに、諦めたか開き直ったか。
いつもの温度のない語り口とは
別人だと言っていいほどに違う。
そんな翔につられてか、自分も
言葉が勝手に、口から出てくる。
「そうやって褒めとけば
次からも俺が料理するって
思ってたりするんじゃない?
その手には乗らないからね」
それがなんだかむず痒いような。
よく分からない気持ちにさせる。
「そんなんじゃないって。
マジで美味いと思っただけ」
「・・・あっそ///」
最近は仕事上どうしても必要な
会話とも言えないような言葉を
交わすだけにもなっていたのに。
昨日から、これほど翔と会話を
したのは何時ぶりだったろうか。
なぜか心地良ささえも感じている。
・・・カズは頭を捻った。
自分達の間に流れる空気は
いつ頃から良くないものに
変わっていったのだろうか。
翔は、基本的には『いい奴』
何か嫌なことをされた覚えも
カズの記憶の中には無かった。
と、言うことはつまり・・・
不仲の原因はやはり翔ではなく、
自分だということになるのだろう。
「・・・カズ。お前さ、
俺のこと・・・嫌いか?」
そんなことを考えた丁度その時、
対面の翔がそんな質問を寄越した。