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今までオレは一体、何に
ドギマギしてたんだろう。
悶々と思考を巡らせては、
『オレは歳上だから』
とか
『返事をせがむなんて
なんだかカッコ悪いだろ』
とか。
あれこれ躊躇して我慢してた
この感情、どうしてくれるんだ。
「翔・・・怒ってる、よな」
オレが大きく溜め息を吐いて。
居心地悪そうにしてるカズが
オレの顔色を窺っている様子。
そしてオレの隣に座ってきて
下から上目遣いでのぞき込む。
その顔は可愛過ぎるからやめろ。
「お前にとって、オレって
その程度の存在だったんだな。
告っても意識してもらえずに
誕生日さえ教えてもらえない」
「いや、ホントごめんって。
わざと教えなかったワケじゃ
ないんだよ?ただのうっかり」
「・・・うっかり・・・ね」
「そ、それに、コクるなら
もっとちゃんとコクってよ///
俺の目を見てハッキリ、さ?
あんな意識飛ばす間際なんて
こっちも応えようがないだろ」
「・・・オレのせい・・・か」
「っ、はぁ・・・分かったよ。
こうなったら何でも1つだけっ
お前の言うこと聞いてやるよっ。
NGは無しでっ、どうだっ?」
「・・・本当に何でも、か?」
「おうっ。誓ってもいいぞっ
あ・・・っ、いやっ、えっと///
俺が出来ることだったら、な」
なぜか話が全く予期せぬ方向へ
転がってるけど、聞いてる限り
お前の答えは想像していた通り。
だってコイツ、オレに謝ってる。
必死にオレの機嫌取ろうとしてる。
・・・ということはやっぱり、
「お前さ、オレのこと・・・」
オレのこと好きなんだろ、って。
それだけは聞いておきたいって。
そう思ったんだけど、その瞬間、
オレ、いいこと思いついたんだ。
こんなチャンスめったにないから。
「・・・なぁ。旅行しないか?」
「・・・はっ?りょ、旅行っ?」
「そう。夏休みに3泊くらいで」
「えっ、ど・・・っ、どこへ?」
「お前の好きなところでいいよ。
仲直りと誕プレを兼ねて。どう?」
「っ・・・いっ、行きたいっ///」
「OK。決まりだな・・・乾杯」
「あ・・・うん。カンパーイ♪」
仕方ないからカズ、お前の返事は
・・・もう少しだけ待ってやる。
オレももう1度、今度はハッキリ
お前の望み通り『告白』するから。
だからお前も覚悟を決めておけよ。
シャンパングラスをグイッと傾け、
キラキラとした瞳を寄こすカズに
オレは堪えきれずにフっと笑った。