🔞BL妄想(S×N)














ステージ上がライトで照らされ


客席からは『キャーッ』という


黄色い歓声があちこちで上がる。




その歓声に応え手を振りながら


笑顔でその場に現れたのは二人。







「Hey、調子はどうだっ」





真っ赤なジャケットに身を包み、



バッサリと断ち切られた袖から


惜しげも無く晒される逞しい腕。




インナーは短めの丈のTシャツ。




そこから覗く鍛えられた腹筋も



客席の女性たちにはたまらない。






彼の名前は『櫻井翔』といった。









「いらっしゃいませー」





ひと通りの歓声が収まった所で


もう一人の青年の柔らかい声が


客席に向けて放たれると、再び


ステージ上は大歓声に包まれる。






こちらの青年は赤い衣装の男と


言ってみれば正反対のイメージ。




赤いジャケットとお揃いの黄色。




袖はしっかり手の甲まで覆って


いわゆる『萌え袖』というやつ。





インナーのTシャツも丈は長め。




細く華奢な肩にフワフワの黒髪。





ともすれば少女のような外見に


女性ファンはもちろん男性にも


人気があるのが彼『二宮和也』だ。







「今日は、僕たち1周年の

記念ライブにお越しくださり

本当にありがとうございます。

僕はカズです。名前だけでも

覚えて帰ってね・・・そして」


「俺がショウ。二人合わせて

『aimant(エマン)』宜しく。

さあて、お前ら準備はいいか?

俺たちもう準備、出来てるぜ」


「皆で最高の夜にしようねー」







ハスキーで色気のある声のショウ。



主にラップパートを担当している。




彼が響かせる低音が女性ファンを


虜にするんだと音楽関係者は語る。






一方、甘く鼻に掛かった声のカズ。




伸びやかでツヤのあるその高音は



男も女も関係なく惹き付けられる。






ツインボーカルが売りの『エマン』



その意味はフランス語で『磁石』






彗星の如く現れた彼ら二人組みは、



デビューからたったの三ヶ月弱で


ドームツアーを敢行する程の人気。






その勢いは正に凄まじく、



『𝟏𝐭𝐡 𝐀𝐧𝐧𝐢𝐯𝐞𝐫𝐬𝐚𝐫𝐲』


と銘打ったこのツアーでも



チケットは即完売となっていた。






なぜこれ程の人気になったのか。





顔面偏差値が高いということも、



その声の相性や、歌唱力も・・・





まあ、色々な要因があるだろうが




『エマン』の女性ファンは


この二人の『仲の良さ』に萌え



それが人気の一番の理由らしい。






とにかくこの二人の距離は近い。



コンビ名『磁石』の名の通りだ。







〈やーん♪ねぇ、ショウが

カズの腰を抱いてるしー❤️〉


〈耳元で何か言ってるー❤️〉






その人気ゆえにライブの箱は



何万人と来場する巨大な舞台。





それに伴って当然ステージも



かなり広いスペースなのだが。






〈キャー❤️見つめあってる〉


〈唇が触れそうじゃない?〉


〈するわよっ、絶対キスっ

待って、カズがっ、ほらーっ

今ショウの頬にチュッてー❤️〉


〈キャーッ、ショウからもっ

お返しのキスとか萌えーっ❤️〉






ステージ上だけではなく、ありと


あらゆる場面で見せる仲睦まじさ。






・・・それが世の女性たちを



掴んで離さない理由になっている。









・・・だが、




ここに大きな問題がひとつ。







「今日はありがとなーっ」


「きっとまた会おうねー」






その仲の良さが人気のこの二人。





まるで恋人なのかという距離に、



いけない妄想が掻き立てられて


もっともっと彼らを知りたくなる。





と、どこぞの雑誌にも紹介された。







だけど実はこの二人・・・






「カズ。お前ふざけんなよ。

ライブなんだから、もう少し

テンションを上げていけって

いつも言ってるハズだろっ?」


「お前に付き合ってられるか。

バカみたいに騒ぐのなんて俺は

好きじゃないの。お前と違って」


「何だとっ?俺がバカだとっ?」


「なによ、間違ってないでしょ」








ひとたび『エマン』の仮面を脱ぐと、



 



・・・最低最悪に仲が悪いのだ。