※こちらBL表現がありますので

苦手な方はUターンをm(_ _)m











潤のお母さんの遺品でもある


宝石や美術品を全て取り戻す。





言うだけなら簡単なんだけど、



現実問題、これは難題だった。






まずは手放した物が最後に


たどり着いた場所を調べた。





最終的には個人宅だったり



街の小さな美術館だったり。






ただ、その過程で分かった


とんでもない事実がひとつ。




潤が美術品を売った業者は


どうやら悪徳だったようで。




美術商と名乗って数多くの


美術品や高価な宝石とかを


騙し取る、厄介な人間だった。




実際、潤が売った品なんかも



本来の価値よりずい分と低く


値が付けられていたみたいで。




だって、物によっては実際に


美術館に展示された代物だよ?



もっと高値でいいハズなのに。





そんなとこでも闘志を燃やす


材料にはなったかもしれない。






問題はどうやって手に入れるか。




それを考え出したら答えは1つ。






・・・盗み出すしかない。









それから約2年くらい掛けて



様々なトレーニングに励んだ。





体力作りに身体能力の向上に。




元々、運動神経はいい方だし、



オレも全集中でガンバったよ。





そして2人で引っ越しをした。



誰もオレたちを知らない街に。




その土地でクリニックも開業して。





怪盗として、この街に住む以上は



当然、素顔を晒すワケにいかない。





怪盗の時にはもちろんなんだけど、



普段、街に溶け込む人物としても


あまり顔を見せなくて済むように



オレは『視覚障害者』のフリして


クリニックの経営を続けることに。





そう。『視覚障害者』と『怪盗』



どう考えても結びつくハズがない。





そうして隙なく全ての準備を整えて。








「・・・本当にやるのか?」


「今さらなに言ってんの?」


「もし・・・捕まったら?」


「安心してよ。潤のことは

絶対に話したりしないから」


「そうじゃなくて・・・っ」


「心配してくれてありがと。

でも大丈夫。約束したでしょ。

絶対に全て取り戻してみせる」






潤は最後まで心配してくれた。





だけどもう決めたことだから



オレの意思は変わらなかった。





そうして金糸雀がスタートして。






万が一にも足がつかないように、



遺品とは全く関係ないモノでも


何点か間に入れて盗んでみたり。




もちろん公には出来ない方法で


手に入れたと思われるモノだけ。




さすがに健全な一般市民の宝を


ついでで盗むワケにいかないし。





それを裏のルートで売り捌いて



潤は今の小さなBARを始めた。





オレの仕事も手伝えるようにと



同時にクリニックの勉強もして。






潤と2人で何もかも順調だった。



オレってなんでもこなす方だし。




思った通り、問題は何もなかった。








そう、櫻井翔に出会うまでは・・・