※BL妄想につきご注意を。











動物園に行ってお弁当を食べて

それから映画を見て買い物して。

本当にデートみたいで楽しくて。



「カズ。何が食べたい?」

「ん〜・・・あっ、これ、
このチーズinハンバーグっ
めちゃくちゃ美味しそうっ」

「ハンバーグ好きだねぇw」



夕飯は肉料理専門のレストラン。


オレはお決まりのハンバーグを。

翔ちゃんは牛フィレステーキを。


器用に、綺麗に肉を切り分けて

フォークを口元に運ぶ動作とか。


コクリと喉元が上下する所とか。


全てが美しくてカッコよくって

どうしたって見入っちゃうんだ。


やっぱり『王子様』みたいだな。




「ん?カズ、どうしたの?」

「翔ちゃんに見惚れてたの」

「えー。じゃあ俺もカズを
見つめながら食べようかな」

「そ、それは・・・ダメ///
翔ちゃんに見つめられてると
ハンバーグ食べられないから」

「ぷっ、あははっ。ホント、
カズは可愛い。大学行ったら
きっとモテるんだろうなぁw」

「・・・興味・・・無いよ」

「なんで?カズ、いつも俺に
彼女が出来たか聞くでしょ?
俺もそれ聞きたいんだよねw」

「・・・出来たら教えるよ」

「うん。約束だよ?絶対ね?」



小指を差し出して楽しそうに笑う。

翔ちゃんは時々、ホントに残酷だ。


こんな指切りなんて意味ないのに。


だって彼女なんて出来るワケない。

オレは翔ちゃんが好きなんだから。


『デート』だなんて言ってもね、

翔ちゃんにしたら甘えん坊な弟を

遊びに連れ出してる感覚なんだよ。


せめてオレが『女の子』だったら

可能性はあったかもしれないのに。



・・・バカだな、オレは。


こんな事も、考えてもムダなのに。




「さて、そろそろ出ようか」

「うん。ご馳走さまでした」

「ふふ。どういたしまして」



オレはどうせ、一生『従兄弟』だ。

それはもう変えられないんだから。


せめて、近くでずっと翔ちゃんを

見ていたい、ってのがオレの願い。


そのくらいは望んでもいいでしょ?




「はぁ。楽しかったねぇ?」

「翔ちゃん疲れたでしょ?
待ってて。今フロ溜めるね」

「ありがと。カズはホント
いいお嫁さんになりそうw」

「やめてよ///オレ男だし」

「そっか。たまに忘れるw
あまりに可愛いもんだから」



好きな人にこんな甘々攻撃されて

オレってよく耐えてると思わない?


どんなにアプローチしたって全く

本気にも相手にもしてくれないし。


翔ちゃんてかなり鈍感なんだよね。


いっそ夜這いでもしたらさすがに

オレの気持ち分かってくれるかな。



ま、そんなこと出来るワケないけど。




「翔ちゃん、フロ溜まった」

「カズ先に入っていいよ?」

「いいよいいよ。翔ちゃん、
運転もして疲れてるんだし」

「ん。じゃあ一緒に入る?」

「えっ・・・い、一緒に?」

「俺のこと待ってたらカズ
お風呂入るの遅くなるでしょ。
最近は一緒にお風呂、なんて
全然なかったしね。だからさ、
久しぶりに2人で入らない?」



そりゃオレが中学くらいまでは

一緒に入ったりもしてたけどさ。


もうオレ、18歳なんだけどな。



「ほら、早く行こうよ。カズ」

「あ・・・う、うん・・・///」



それでも断れないオレがいるよね。

こんなチャンス、逃せないでしょ。


最後に、一緒にフロに入ったのは

確か4年くらい前、だったと思う。


翔ちゃんも逞しくなってるのかな。

それとも少しお腹が出てたりして。


想像するだけでなんか逆上せそう///