【注】こちらBL表現があります。

苦手な方はUターンをm(_ _)m











・・・先生に惚れてるか。






第三者に改めて尋ねられても



オレは何て答えたらいいのか


やっぱりよく分からなくって。









「なぁ、どうなんだ?」


「え・・っと・・・///」







ぐっと身を乗り出してる彼に



何かよく分からない汗が出て。






でもその時、スツールの下に



先生の『白杖』が見えたんだ。









「あれ・・・杖・・・」







先生・・・置いていったのか。






いや、だけど、おかしいよな。



これ、無くて大丈夫なのかな。







クリニック以外のところでは



先生はこの杖を持ってたハズ。





これが目の代わりなんだから



そりゃ当たり前のことだよな。








「・・・どうして・・・」


「ああ・・・杖・・・?」


「お、オレ、持ってくっ」


「え、お、おい・・・?」







オレはその杖を手に、慌てて



店の奥のトイレへと向かった。







まあ、よくよく考えてみたら



ここは弟さんの店なんだから


きっと何度も来てるだろうし。





だから、トイレに行くくらい



杖が無くっても大丈夫なのか。





クリニックの中と同じように。







でも、ちょうど良かったんだ。





これ以上、追求されても多分



答えられなかったと思うから。






自分でも分からないってのに



聞かれたって困るんだよ実際。









「あ、せ、先生・・・」


「え・・・櫻井さん?」






トイレに到着するまでもなく


通路の向こうに先生が見えた。





人ひとり通れるくらいの幅の



とても狭い通路にオレと先生。








「櫻井さんもおトイレ?」


「あ、いえ、あの・・・」







大きなお世話だったとしたら



それはそれで恥ずかしいけど、




ここまで来たら渡すしかない。





だってトイレに用もないなら



なぜここに来た?って話だろ。





まるで先生の後をついてきた



みたいで気持ち悪いじゃないか。









「こ、これを・・・///」






オレは、先生の手を取って



その手に、杖を触れさせた。








「あ・・・杖、ですか?」


「す、すいません、別に

必要無いですよね。はは」







余計な気遣いをした自分に



少し恥ずかしくなって笑った。








・・・だけどその時、






オレの、スーツの裾を



先生の指がそっと摘んだ。








「え・・・せ、先生?」







それからオレの胸あたりに



コツン、と凭れる先生の額。







・・・ち、ち、近いっ///






な、何だろう、この状況は///









「・・・櫻井さんは

本当に優しい方ですね」


「い、いえ、そんな///」


「私・・・櫻井さんの

そんな所が・・・好き」


「え・・・先生・・・」







先生がふいにオレを見上げる。





グラスの奥の瞳は閉じていて



まるでキスを強請ってる感じ。







いや・・・瞳が閉じてるのは



なにも今だけじゃないだろう。





先生の瞳はいつも閉じている。






いや、だけど先生が動かない。







え・・・これ・・・





ま、マジで・・・キス?






キスを・・・待ってるっ?









「っ・・・///」







心臓がバクバクと鳴ってる。




汗が体にぶわっと滲み出る。








オレは先生の両腕を掴んだ。