【注】こちらBL表現があります。

苦手な方はUターンをm(_ _)m










クリニックの駐車場に車を停め、



シャツの袖を捲って時計を確認。






・・・約束の時間は3時。







「少し早かったな」






少し?まだ優に20分はある。







あまりに楽しみ過ぎてオレは



昨日からソワソワ落ち着かず。







いや、落ち着いていられるか。




やっとあの人を誘えたんだぞ。






今日は、オレの車の助手席に、



隣に、あの人を乗せるんだぞ。








ここに通って、もう1年以上。



いつからか思っていたことだ。





プライベートで会いたい、と。






そりゃあオレの方はいつでも



プライベートではあるけどさ。





先生にとって、オレは患者で。







オレの、なんでも無い日常も、



先生がいてくれたらもっと


彩りある日々になるだろう。






朝、毎日挨拶を交わせたら



どんなに仕事が捗るだろう。




先生の笑顔を毎日見れたら



どれだけ癒される事だろう。





そんな事を考えるようになって。







オレをただの患者じゃなく、



1人の男として見てほしい。





そう思ったのも自然の流れで。






それはまるで恋をしてるような。






中性的とは言え先生は男だから



これは当て嵌らないだろうけど。







でも・・・先生と居ると、



ふわふわした多幸感が


いつもオレを包んでくれる。








「キメてけよ、櫻井翔。

完璧にエスコートをして

先生に喜んでもらうんだ」






やっとチャンスが来たんだ。



患者から友人へと昇格する。





今日は大切な、大事な第1歩。







気合いを入れようと、オレは


パンっ、と頬を1回、叩いて。





ルームミラーを覗き込んで


ネクタイに手を伸ばしたら



キュッと締め直したりもして。







普段はスーツなんか着ない。



仕事でも動きやすい服だし。





これも落ち着かない要因の1つ。








・・・と、その時。





フロントガラス越しに


こちらへ向かってくる



先生の姿が目に入った。







ドクンッ







オレは慌てて車を降りて




小走りで先生に駆け寄った。