【櫻宮】妄想物語❤️💛
BL苦手な方はOUTバツレッド




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『今・・・なんて?』

『だから、貴方とは
結婚出来ません、私。
本当にごめんなさい』

『・・・え・・・?』







・・・この夜、



オレの世界は変わった。









オレの名は『櫻井翔』



父親はサラリーマン。


で、母親は専業主婦。



2つ下の弟がひとり。




至って平凡な家で生まれ


至って平凡に生きてきた。





大学進学を機に家を出て、

一人暮らしを始めてから

今までも普通に過ごして

問題なんて全然なかった。




未来設計だって完璧で、


高校は進学校に入り

大学を卒業した後は

地元の会社へと就職。



そして30歳で結婚。





自分で敷いたレールだ。



・・・他の誰でもなく。








そして、その通り上手く

生きてきたと自負してる。




オレも来年30になるし、


職場で知り合った彼女と

付き合ってもう2年ほど。




タイミングはバッチリだ。





・・・だったハズだ。







「ちくしょう・・・
何でなんだよ・・・」




それなのに、どこをどう

間違えたんだろうオレは。




満を持してキメたはずの

一世一代のプロポーズは、


・・・あっさり断られた。





海の見えるレストランで

すげぇお洒落な場所だぞ?



食事代だって、2人分で

1万以上もするトコだぞ?



この日の為にここ1週間

握り飯で過ごしたんだぞ?







『私たちもう・・・
終わりにしましょう』






・・・いったいオレの、


どこがダメだったんだ?






ポツンとひとり残されて。


グラスに残ったワインを

クイッと一気に飲み干し

とぼとぼ歩く家までの道。




こんなに虚しい気持ちで


帰る事になるなんて・・・




想像もしてなかったのに。











「・・・・・?
なんだ・・・あれ」





自宅まであと数メートル。


不思議なモノを見つけて

オレはふと、足を止めた。




平屋建ての古いアパート。


並んでいる玄関口は5つ。



そのオレんちの玄関前に

何か金色の塊が落ちてる。







「え・・・ひ、人?」




ゆっくり近づいていくと、


街頭に照らされた金色は

何て事はない、人の頭だ。





・・・いや、



何て事ないことは無いか。



そうある光景じゃないし。







「死んでないよな?」





・・・何なんだ、これ。



行き倒れ、的なことかな。







「あの、ちょっと?
こんな所で寝てたら
風邪を引きますよ?」





もう10月になろうか


・・・っていう季節。




この時間になると結構、

肌寒いくらいにはなる。






『凍死』


とまではいかなくても、



風邪をひくのは確実だ。








「起きて下さぁい」




オレは、おそるおそる

その肩を揺すってみる。






すると、



ダンゴムシみたいに

丸まってたその体が

ふわりと解けて・・・






「・・・は・・った」





しゃっ、しゃべったっ




・・・と同時に、


ちょっとだけ見えた顔。





え・・・



男・・・だよな?




それが真っ先の印象。


それから結構、若い。







「大丈夫ですか?」




金色の髪にまっ白な肌。



唇が妙に赤く浮いてて、


不思議と、『男』でも

『女』でもない・・・



そんな感じにも見える。







「はら・・・っ、たっ」

「何? 何だって?」





とりあえず何か言ってるし、


死んでない事に安心はした。





そしたら次は・・・




やっぱりこの場所から

立ち去ってほしいよな。






「いや、あのですね、
ここ、オレん家なんで、
他へ行ってくれます?」

「む・・・り・・・っ
腹減って・・・もうっ
動けな・・・い・・・」

「わっ、ちょっとっ?」






せっかく少し浮いた頭は

また、ガックリと落ちた。






どうしよう・・・




オレには全く関係ないけど


放置しとけるワケもないし。







「・・・くそっ、
厄日か、今日はっ」





誰に言うでもなく呟いて、



オレは、その金髪の塊を


仕方なく抱え上げた・・・