来むと言ふも 来ぬ時あるを 来じと言ふを 来むとは
待たじ 来じと言うふものを 
                     坂上郎女

(こんというも こぬときあるを こじというを こん
 とはまたじ こじというものを)

意味・・あなたが来ようと言っても来ないですっぽかす
    人なのに、来まいとおっしゃるのにひよっとし
    たら来るかしらと待ったりはしますまい。来な
    いとおっしやるんだもの。

    「来」を繰り返す戯(ざ)れ歌です。
    心の底ではもしや「来む」かという待つ気持ち
    があります。

作者・・坂上郎女=さかのうえいらつめ。生没年未詳。
    大伴旅人は兄、大伴家持は甥にあたる。

出典・・万葉集・527。