年をへて かよふ山路は かはらねど 今日はさかゆく
心地こそすれ      
                  良遷法師

(としをへて かようやまじは かわらねど けふは
 さかゆく ここちこそすれ)

意味・・何年にもわたって通っている、この比叡の山路
    は変わらないが、今日のこの坂道を登ることは、
    一層栄えてゆく気持がするものだ。

    比叡山の天台座主になれた喜びを詠んでいます。

 注・・さかゆく=「坂行く」と「栄行く」を掛ける。
    天台座主(てんだいざす)=天台宗の頭の僧。
        
作者・・良遷選法師=りょうせんほうし。1064年頃没。
    67歳くらい。比叡山延暦寺の住持。

出典・・金葉和歌集・528。