かずならぬ 身にさへ年の つもるかな 老いは人をも
きらはざりけり          
                   成尋法師

(かずならぬ みにさえとしの つもるかな おいは
 ひとをも きらわざりけり)

意味・・人並みでもない我が身にまでも歳は積ること
    だ。老いは人を分け隔てしないものなのだな
    あ。

    年が明ければ、一つ歳を重ねる。世間の人が
    我が身をあなどって避けるようには、老いは
    我が身を避けてくれない、という嘆きを詠ん
    でいます。
    逆に数ならぬ身ではあるが、分け隔てせずに
    人並みに扱って欲しいものだという気持ちも
    含まれています。
    
 注・・かずならぬ=取るに足りない。
    あなどる=小馬鹿にしたり、邪魔者扱いにす
     る。
 
作者・・成尋法師=じょうじんほうし。1011~1081。
    大運寺の僧。
 
出典・・詞花和歌集・159。