花は根に 鳥は古巣に 帰るなり 春の泊りを 
知る人ぞなき
                崇徳院

(はるはねに とりはふるすに かえるなり はるのとまりを
 しるひとぞなき)

意味・・桜の花は散って根に帰り、鶯は谷の古巣へと帰って
    ゆくのだ。しかし、春そのものの帰ってゆく先を
    知っている人はいない。

    花・鳥・春を擬人化して惜別の情を込めています。
    桜の花が散るのを惜しみ、鶯が古巣に戻りいなく
    なるのを惜しむ。そのようにして遠ざかって行こう
    とする暮春の寂しさを詠んでいます。

作者・・崇徳院=すとくいん。1119~1164。鳥羽天皇の第一
    皇子。保元の乱に敗れて讃岐に流された。

出典・・千載和歌集・122。