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劫初より つくりいとなむ 殿堂に われも黄金の
釘一つ打つ        

                 与謝野晶子

(ごうしょより つくりいとなむ でんどうに われも

 こがねの くぎひとつうつ)

意味・・はるか昔の、世の初めから、人類が造り営ん

    で来た美の世界、芸術の立派な建物に、いま

    自分も、一本ではあるが、輝く黄金の釘を打

    つのである。

 

    短歌創作の意気込みを詠んでいます。 

 

 注・・劫初=この世の初め。

    殿堂=高く立派な建物。ここでは芸術の殿堂。

 

作者・・与謝野晶子=よさのあきこ。1878~ 1942。

    堺女学校卒。鉄幹と結婚。歌集「みだれ髪」。

 

出典・・歌集「草の夢」(大塚寅彦著「名歌即訳・与謝

    野晶子」)