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忘るなよ 姥捨山の 月見ても みやこを出づる 
有明の空       
               藤原頼実

わするなよ うばすてやまの つきみても みやこを
 いずる ありあけのそら)

意味・・姥捨山の美しい月を見ても、都にも出ていた
    有明の空の月を忘れないで欲しい。

    辺鄙(へんぴ)な所に行く事になって、困難も
    待ち受けているだろうが、我々の事も思い出
    して元気に過ごして欲しい、という気持を詠
    んでいます。

 注・・姥捨山=長野県にある山。信濃国の歌枕。月
        の名所。
    有明の空=夜明け近くまで月が出ている空。

作者・・藤原頼実=ふじわらのよりさね。

出典・・千載和歌集・496。