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道のべの 清水流るる 柳陰 しばしとてこそ 
立ち止まりつれ             

                                                   西行

(みちのべの しみずながるる やなぎかげ しばしとてこそ
 たちどまりつれ)

意味・・清水が流れている道のほとりに大きな柳の樹陰。
    ほんの少し休もうと立ち止まったのに、涼しさに
    つい長居をしてしまった。

    この柳のことを知って、芭蕉は次の句を詠んで
    います。

    田一枚 植えて立ち去る 柳かな     芭蕉

    この柳のところで西行の昔をしのびながら休んで
    いると、いつのまにか前の田では早乙女がもう田
    を一枚植えてしまった。自分も意外に時を過ごし
    たのに驚いて、この柳の陰を立ち去ったことだ

 

作者・・西行=さいぎょう。11181190。俗名佐藤義清。

    下北面の武士として鳥羽院に仕える。114023

    で財力がありながら出家。出家後京の東山・嵯峨

    のあたりを転々とする。陸奥の旅行も行い30歳頃

    高野山に庵を結び 仏者として修行する。

 

出典・・新古今和歌集・262