若葉さす ころはいづこの 山見ても 何の木見ても
麗しきかな
橘曙覧
(わかばさす ころはいずこの やまみても なんの
きみても うるわしきかな)
意味・・若葉が萌える頃はどこの山を見ても、また
そこに生えているどんな木を見ても、心が
すがずかしく成って来るものだ。
自然界の清々しい息吹きがさわやかな薫風
にエネルギーを運んでくるような歌です。
川端茅舎の次の句が思い出されます。
朴の花猶青雲の志 (解釈は下記参照)
注・・麗しき=うつくしい、立派だ、端正だ。
作者・・橘曙覧=たちばなあけみ。1812~1868。
出典・・岩波文庫「橘曙覧全歌集・524」。
参考です。
朴の花猶青雲の志 川端茅舎
(ほうのはな なおせいうんの こころざし)
朴の花は五月に咲く。その時辺り一面は、 目に痛いばかりの新緑である。明るく降り 注ぐ初夏の陽光に、萌え生じる鮮やかな若 葉がきらめいている。そんな情景の中に白 い朴の花は咲くのである。 見詰めていると、青雲の志を抱き奮闘した 若き日々が脳裏を駆けめぐる。そして思う のだ。「何を弱気になっているんだ。まだ まだ、これからだ、まだまだ、これから頑 張らなくてどうする!」 次第に力が湧いて来る。忘れかけていた遠 くから、何か熱いものが腹の底にみなぎっ て来る。 |