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浪もなく 風ををさめし 白河の 君のをりもや 

花はちりけん
                西行

(なみもなく かぜをおさめし しらかわの きみの

 おりもや はなはちりけん)

意味・・四海波静かに、風も枝を鳴らさぬまで、統治されて
    いた白河院の御世でも、やはりこうして花は散った
    ことだろう。

    花が散るのを惜しんで詠んだ歌です。
    四海波静かに出来るほどの白河院でさえ、花を散ら
    す風は治められなかっただろう、と諦めた気持です。

    白河院は「賀茂川の水、双六の賽、三蔵法師、これ
    ぞ我が心にかなわぬもの」と嘆き、その権威を誇っ
    たという逸話があります。

 

    花は散り、人は年を取り老いて行く、という無常観

    を詠んでいます。元気な今なら海洋の怒涛にも荘厳

    な山岳にも接する事が出来る。老いたら何も出来な

    いのだぞ、 若い今の内にやりたいことはやり遂げる

    のだぞ、といっているみたい。

 

作者・・西行=さいぎょう。1118~1190。

 

出典・・山家集・107。